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【テアラロア Day1】ニュージーランド南島を縦断する1300kmの歩き旅

ニュージーランドの南島を、3カ月かけて、歩いて縦断します。その記録を、毎日更新を目標に、ここに載せていきます。

もくじ

出発の朝

2024年12月12日、明け方5時に目が覚めた。

真っ暗な部屋の中で、隣に眠るパートナーをしばらく見たあと、目を閉じる。

いよいよニュージーランドに出発するということで、胸がドキドキしていた。

夜が明けて、一緒に朝食をとり、仕事に出かけるパートナーを見送る。

あまりに胸がドキドキして苦しかったので、頓服の精神安定剤を一錠のみ、成田空港へ向かった。

成田空港にて

成田空港で、日本円をニュージーランドドルに換金する。

「おぉ、これがニュージーランドのお札か!」

と思ったけど、それでもなんだか現実感がなくて、フワフワした気分だった。

成田空港は、旅行の度にパートナーと何度も来た場所だ。

そんなことを思い出しながら手荷物を預ける列に並び、「今回は一人なんだな」と心細い気持ちで、目の前のカップルを眺めていた。

痛恨のミス

飛行機に乗り、翌朝、ニュージーランド北部にあるオークランド空港に着いた。

ニュージーランドの最南端が旅のスタート地点になるので、ここからまた国内線で二回飛ばないといけない。

次の便は12:00だ。

だけど、ニュージーランドの入国のための必要な手続きを全て終えた時点で11:48だった。

あぁ、もう無理だ。

二回分の飛行機代を捨てて、また新しく予約を取り直すしかない。いい勉強になった。詰め詰めで予約をとった僕が悪かった。

と思ったら、まさかの展開

「さぁ、今夜の宿をオークランドのどこにとろうか、というか空港からオークランド市街は近いのだろうか、そもそもどうやっていくのだろうか」といろいろ考えていると、空港内にチケットセンターを見つけた。

ダメだろうけど、一応、便の変更を頼めないか聞いてみたら「大丈夫」ということだった。

えっ、いいの…?

「今日の便は埋まっているので、明日になっても大丈夫ですか?」と聞かれ、もちろん「大丈夫です!」と答える。

しかも、今夜オークランドで滞在する宿と、そこに行くまでのバスも手配してくれたうえに、料金も全て航空会社が持ってくれるということだった!

しかも!ホテルの夕食と朝食代として使える90ドル(9000円)のチケットも付けてくれていた!

なんてこった…

聞いてよかった。「Thank you so much!!」といったあと、ホテル行きのバス停に向かった。

バス停でバスを待っていたのだけど、次の便が来るまで30分待たないといけなかったので、ホテルまで歩くことにした。

地図で見たところ30分ほどで行けそうだ。

交差点で命の恩人に出会う

そして空港を出て、ついにニュージーランドの歩道を歩く!

暑い!

カラッとしているから日本みたいな息苦しさはないけど、熱が肌にチクチク刺さるような暑さだ。

交差点で信号待ちをしていると、二人組の男性も僕の隣で信号を待っていた。

なんとなくお互いに「Hi!」と挨拶をして、会話を始めた。

僕は歩き旅に来ていて、今日がその初日で、まずはホテルに向かっているということを伝えると、「そのホテルはここから遠いし、君が向かおうとしている方角にはホテルがないよ」と教えてくれた。

そして、なんと二人が「車でホテルまで連れていくよ」と言ってくれた!

後部座席に座る。

一人は地元の人で、陽気なタイプだった。もう一人はインドから4ヶ月ほど仕事で来ているらしく、少しシャイな人だった。

地元の人には冗談で「南島には凶暴な野生生物がいるから気をつけて!」と言われたけど、ニュージーランドは熊も蛇もいなくて平和過ぎるあまり、飛ぶことをやめた鳥もいるということを知っていたので、ツッコんだ。

インドの人は、「日焼け止め、持ってる?ここは紫外線が強烈だから」と教えてくれた。

ちなみに「どこから来たの?」と聞かれたときに「日本から来たよ」と伝えると、地元の人は親戚が二人、日本に住んだことがあること、インドの人は「はじめの一歩」と「進撃の巨人」が好きだということを伝えてくれた。

僕を降ろしたあとは、二人でお祈りにいくということだった。

確かに、車が走る方角は、僕がこれから歩こうとした道と90°も反対だった。

しかも、このとき僕はペットボトルの水を切らしていたので「この暑さの中、間違った方向に延々と歩いていたら…」と思うと、この二人に命を救われたかもしれない。

二人とも、すごくフレンドリーで優しかった。

この二人だけではなく、スマホのSIMカードを買いに行ったときの店員のお兄さんや、空港で作業をしていたおじちゃんもフレンドリーに話しかけてくれて、とても嬉しかった。

そしてホテルに着いた。

なんと高級ホテル!

ホテルに着いてビックリした。

「えっ、ここ高級ホテルじゃん!?」

綺麗だし、部屋も広いし、ジムやプールもあるし、なんとなくお客さんにお金を持っていそうな雰囲気を感じる。

「こんなとこ泊まっていいの?」と感動がとまらなかった。

でも、わかっている。

歩き旅が始まったら二度とこんな立派なところには泊まれない。

ここが最初で最後の高級宿だ。

それでも、寝転がったベットから見えた景色は晴れていて、気持ちがよかった。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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