【台湾旅行記2 #4】黄金博物館からのバスでプチパニック!最後に知った予想外の事実

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バス停でプチパニック!

黄金博物館を楽しんだあとは、台北に戻るためにバスを待った。

バス停にはバスを待つ人が30人以上もいた。その列の最後尾に並ぶ。

そして、バスがやってきた。

すると人々は列を崩し、みんな次々とバスに押しかけた。

「えええ」と、困惑する僕たち。「列関係ないじゃん」とプチパニック気味の僕。

このバス停のバスを待つときの仕組みがよくわからないし、ただ「列に並んでいたら安心、あとは待つだけ」精神ではバスに乗れないような気がして、ソーマに「ど、どうする!?」と詰め寄る。

ソーマは「様子を見てみよう」と冷静に言う。

また次のバスでは、運転手がバスの乗降口で乗れないというジェスチャーをしたけれど、人々がなにか運転手にいい、運転手はまた乗れないことをアピールしということを繰り返し、最後は人々が勝ってバスに乗り込むというシーンもあった。

バスの停車位置も毎回違うので、そもそも先頭に並んでいるからといって、バスが捕まると約束されたわけでもない。

そういう僕たちは、列の先頭にいた。

そしてバスが来た。だけどバスは僕たちの3メートルほど先でストップした。

後ろに並ぶ人々を引き連れて早足でバスの乗降口まで行ったけど、どうやらこのバスには乗れないようだった。乗客がいっぱいだったからか、このバスは違うのか理由はわからなかったけど、とにかく乗れなかった。

なので、後ろから来ていた人たちはまた3メートルほど歩いて、元の位置まで戻った。

僕も戻ろうとしていたけれど、そこでソーマが「待て」と手を伸ばし、僕を制した。

僕たちの後ろには相変わらず30人ほどの大人数が並んでいたから、その人たちは元の位置まで歩いて戻ったけど、その中で違う動きをしている人が2人だけ、いた。

その二人は残りの30人についていかず、この、元のバス停から3メートルほど引き剥がされた、バス停の標識もなにもない場所にとどまっていた。

二人はアジア系の男女だった。

中国からなのか香港からなのか、地元の人なのかわからないけど、ベテラン猟師のような落ち着いた表情でバスを待っていた。

それを見たソーマが「ここで待っていよう」と言う。

僕は「え、大丈夫なの!?だってあっちの方が圧倒的に数が多いじゃん。あっちにとまるよ!」と返す。そんな数の多いものに簡単に流されてしまうヤワな精神の僕に「とりあえず、試してみよう」とソーマは視線を正面に戻した。

そしてしばらくバスを待つ。

落ち着いて辺りを見渡してみると、自然の多いのどかな景色が広がっていた。「集落」と呼べそうな規模感の村が広がり、田舎のさわやかな風が僕に吹き付けた。

そしてバスがやってきた。

ソーマの言う通りだった。

バスは大勢が並んでいて、バス停の標識があるところにとまらずに、僕たちがポツンと立っているこの場所にとまった。

なんてこった。

3メートル後ろの人たちが慌ててこっちに歩いてくる中、僕たちはゆっくりとバスに乗り込んだ。

バスでプチパニック!

ソーマとバスの後方に座る。

サニーさんとマリパズさんは出入り口に近いところに座った。そしてマリパズさんの車いすは、僕たちの席の横にある、使われていない乗降口にスペースがあったので、そこに立てかけた。

「ふう、やっとバスに乗れた」と安心していたときに、それは起こった。

最後に乗り込んできた乗客が僕たちの横に立てかけてある車椅子を「ガン!」と蹴り、それで空いたスペースに腰を下ろした。

それを見た僕とソーマは、顔を見合わせた。

「なんだ、あいつ」と怒りが湧いてくる。

僕の車いすではないけれど、こんなに無礼なことをされて腹が立たないわけがない。怒りながら、台北駅で下車するときに「すみません、その車いす、僕たちのなんです」と、その人が蹴った車いすを手に取ったら、その人はどんな表情をするだろうかと、復讐の悪魔に憑りつかれていた。

そして、バスが台北駅に到着した。

「復讐してやる(メラメラ)」モードだったけど、その人も台北駅で降りるようだったので、僕たちよりも先に席を立った。

復讐は果たせなかった。

そうだったのか。

バスを降りて、4人でホテルまで歩いているときだった。

目の前を、さっきの人が横切った。

だから、サニーさんとマリパスさんに、「この人がさっき車いす蹴ったんだよぉ!」と怒りを伝えると、サニーさんがタガログ語でソーマになにかを話していた。

そしてソーマが「あぁ、そうだったのか」と納得した様子を見せた。

「え、なになに!?」とソーマに聞くと、

「さっきの人がバスに乗るときに、運転手は乗車を拒否したらしい。座席が全部埋まっていると運転手は思っていたからね。だから、乗車を拒否したんだけど、そのあと運転手が席をよく見てみると3席空いていたことに気が付いた。だから、次の3人をバスに招いた。そのとき乗車拒否された人はあきらめて違う方向に歩いていたんだけど、その3人をバスに招いているのを見て、バスに戻ってきたらしい。そしてその運転手の行為に怒っていた。」

と返ってきた。

「なるほど。ということは、さっきの人は自分だけが乗車を拒否されるという、ものすごく意地悪なことをされたと誤解したということなんだ」とソーマに返す。

「そう。それと、バスに乗っているときにさっきの人の行動を観察していたんだけど、なんていうか、仕草や行動が少し変わっていた。だから…」

「あぁ、なるほど。もしかしたら、そのせいで人から嫌なことをされる経験が多くて、それで今回も、また一方的に嫌がらせをされたって、怒っていたのかもね」とソーマに言うと、「たぶん」と返ってきた。

仕草や行動が少し変だから、嫌なことをされる経験が多いのかもというのは飛躍しすぎかもしれないけれど、そういったことも確かにあると思うから、あながち間違いではないと思う。

「それならさっきのことは許せるわ」とソーマが言った。

僕も同意した。

スーツケースを転がしながら歩く彼の後ろ姿と、夕方の台北の街並みがやけに心に残った。

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著者

栃木県在住の35歳。

双極性障害二型(完解済み)・同性愛者。

34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越し、12年間続けた介助の仕事をやめて無職になる。精神安定剤代わりに始めた登山を、毎週続けているうちに、ニュージーランド1300kmのロングトレイルを歩くことができるようになった。フィリピン人の同性パートナーと一緒に生活をしながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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