ベル&ドネックと奇跡の再会
朝起きたときに、身体の疲れを少し感じた。
疲れを抜くために、ハットをでて、新鮮な空気の中で朝食作りと出発の支度をする。
このハットでアメリカから来たジェイと知り合った。ジェイはいつも笑顔で話しかけてくれる。強面だけど、優しい人だ。
ジェイと、お馴染みのベリーの三人で歩き始める。
ニュージーランドに来てから、山の中にいるとき以外は、毎日、牧場の牛や羊を見ている。それだけたくさんいる。
今日も歩いていると、牛がゾロゾロとついてきた。
そして、砂利道を左に折れて、山に入る直前に、後ろから声が聞こえた。
昨日一緒に歩いたベルとドネックだ。
二人は昨日、オタウタウという街のホテルに泊まっていて、そして今日トレイルに戻るためにヒッチハイクをして、ちょうど今ここで降ろしてもらって、僕たちと偶然会った。
そして、車に乗せてくれた人から大量のベーコンをもらっていた(笑)
NZの南島は夏でも寒い
山に入る。
今日はずっと雨で気温も低かった。
最初は大丈夫だったけど、身体が疲れているのか、とても寒く感じ始めて、ダウンとレインジャケットと防水グローブをつけた。
それでも寒くて震えながら歩いた。
ここニュージーランドの南島は、夏でも寒い。今日は雨が降っているせいで、最高気温が16℃、最低気温が12℃だ。
そして晴れていたらものすごく綺麗だっただろう、牧場を歩く。
テアラロアは目標となるポールやオレンジのマーカーがところどころにあるけど、道はほとんど整備されていない。
「こんなところ通るの?」という道を歩いたりする。
牧場にはもちろん糞がたくさん落ちている。
そして急激な下り坂を下っていると、ジェイが滑って背中からこけた。
しかも、ちょうど糞がたくさんあるところに。
気が引き締まる。
言葉の壁が消える瞬間
そして、震えながら今夜の宿に着いた。
服を脱ぐと、Tシャツもダウンジャケットもレインジャケットも全部濡れていた。
濡れた服をいくつか脱いで、早速、中に入る。
中には、水道もあるし、電気ケトルもある。温水シャワーもあるけど、まだ準備ができていないということだったので、電気ケトルでお湯を沸かしまくった。
ザックの中に入っている、紅茶のティーパックをとりだすのがめんどくさいので、白湯を何杯も飲む。
そのあとは、四日ぶりのシャワーを浴びる。温水が身体に染みる。備え付けられてある、終わりかけのボディーソープを思う存分使いながら、身体をきれいにした。
そのあとは、ドネックがベーコンを焼く。ベーコンの焼き方について、アメリカから来たジェイがなにかいっている。
そして、ベーコンが出来上がった。
部屋にベーコンの匂いが充満して、温度も少し高くなる。ドネックが電気をつけて、部屋がオレンジの光に包まれる。
みんなで談笑をする。僕は英語を全部聞き取れるわけじゃないけど、その温かい雰囲気の中にいるのが心地よかった。
そしてなによりベーコンがうまい!
夕食を終えると、みな散り散りになった。
時刻は20時。
外は昼間のように明るいけど、みんなが静かに歩きだしたり、静かに話しだしたりし始めたのを見て、夜が来たのを知る。
英語が満足に話せない僕だけど、みんなと同じように静かに歩いたり話したりすることで、言葉の壁を超えて、同じ時間を共有しているような気分になれる。
この時間が好きだ。
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