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【テアラロア Day23】ごめんなさい、日本に帰りたいです

昨日は、気分がまた立ち直ったかと思ったけど、あの場面を何度も思い出していると、また元に戻ってきた。

今日は山を三つも越えるハードな一日だ。

ただひたすら地面を見ながら歩いた。

「日本に帰りたい」とずっと思いながら、歩いていた。

頭が混乱していた。カルチャーショックと言葉の壁で、テアラロアを歩くモチベーションが完全に下がっていた。

ニュージーランドに来たときは、いろんな人に話しかけまくっていたのに、あの一件がトラウマになって以降、「相手の英語を聞き返したときにイライラされるのが怖い」と、おじけづいていた。

道ゆく人にも、昨日から一緒に歩き始めたスウェーデン人カップルのルーカス&キムとアメリカ人のケイロブにも、そしてベリーにさえも、距離をつくってしまう。

とにかく英語を話したくなかった。

誰かと会話を始めたはいいものの、相手の言っていることがわからずに聞き返すのが、申し訳ない気持ちになる。話のテンポを何度も折ってしまうので、最初から人と話さないようにしてしまう。

そんなことを悶々と考えながら、ただひたすら地面を見て、歩いた。

モチベーションが下がり、まだこれから先に広がる900kmのことを考えると諦めたくなるので、とりあえず次の街「ワナカ」を第一のゴールにして、ワナカに着いたらその次の街「トワイゼル」を第二のゴールにしようと考えていた。

とりあえずワナカまで頑張ろう。

乾いた大地を、息を切らしながら歩いていた。夕陽のオレンジ色が地面に射し、自分の影が地面を歩いている。

ここは、全てのものから遠い。全ての愛しいものから遠い。

パートナーも母親も、僕の友人も、日本も、故郷の風景も、過去の記憶の見慣れた景色も、愛しい日常生活からも。

34年間の記憶と、いままで見てきた何気ない風景が、メリーゴーランドのように頭の中で回っていた。

あぁ、日本が恋しい。嫌なこともたくさんあったけど、自分の故郷に帰りたい。何に対してかわからないけど「ごめんなさい、日本に帰りたいです」と謝りたい気持ちになった。

そして、ときどき泣きながら歩いた。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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