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【テアラロア Day19】一緒に歩いた仲間との別れの時

もくじ

一月一日問題

朝起きると、みんな「これからどうするか」それぞれ話し合っていた。というのも、このままバスかヒッチハイクで観光地のクイーンズタウンに着いたとしても年末年始はホテルがあり得ないくらい高くなるからだ。

特に12月31日と1月1日が高い。そして今日は12月31日だ。

みんな、街に着いたら二泊くらいして、スーパーで次の山に備えて食料を買ったり、レストランでちゃんとしたご飯を食べたり、のんびりして身体の疲れをとったりしたいと思っている。

僕もだ。

だけど、調べてみると一番安いホテルで五万はする。

なので、それぞれこれからどういう行動をとるか話し合っていた。

サムとベリー
ベリーと僕

そして、クイーンズタウンの50km手前にある「グレノーキ」という小さな街にレストランと食材売り場が併設してあるお店があるし、ホテルがあるということで、みんなそれぞれ、その街に向かうことになった。

みんな固まっていては、ヒッチハイクができないので、ベル&ドネックとベリー&サム&僕の2グループに別れた。

ベル&ドネックは開始一分ですぐに捕まった。

そして僕たちは30分待っていたけど捕まらなかった。本当は2台とまってくれたけど、行き先が違っていた。

そして、バスが走ってきたのが見えたので、それぞれ4400円を払い、グレノーキの街まで送ってもらった。

だけどバスの中で、ベル&ドネックからメッセージが届いた。グレノーキの街はどのホテルも予約で一杯だということだった。

とりあえず、グレノーキで降りて、二人と合流する。

レストランで買ったピザや、デザートを食べながら、各々「これからどうするか」作戦を考えていた。

ここからみんなバラバラになる

僕はクイーンズタウン10km手前のキャンプ場までヒッチハイクをして、そこで二晩を過ごし、年末年始を乗り切ることにした。

サムは、テアラロアの道を外れて「ダニーデン」という街までヒッチハイクで行き、そこに停めてある車に乗り、ワナカに帰るということだった。

ベリーは、帰りの飛行機が3月1日と時間に制限があるので、クイーンズタウンまでヒッチハイクで行き、高いお金を払って年末年始をそこで過ごすことにした。

そして、ベルとドネックはザックの重量が重たすぎたせいで疲労がかなり溜まっていたので、テアラロアはクイーンズタウンでやめて、レンタカーを借り、ニュージーランドのいろんなところを巡る旅に変更するということだった。

それぞれが、それぞれの方向に向かう。

しばらくの間一緒に歩いた仲間とここで別れる。みんなと別れて寂しくなると同時に、「これからまた一人になる」と心細くなった。

ベリーとは、「ここで一旦別れることになるけど、またどこかで会おう」と約束した。ワナカに着いたら「サムが教えてくれた日本料理屋さんに一緒に行こう」と、昨日ベリーと約束をしていたので、ワナカに着くまでに追いつくぞと思った。

そして、みんな一緒に出発してはヒッチハイクができないので、またバラバラになって、僕は親指を上げながら一人で路肩に立った。

二度目のヒッチハイク

今回は5分ほどすると車がとまってくれた。

車の中の二人は、七年前にニュージーランドへ移住してきた中国人カップルだった。

オークランドに住んでいるらしいけど、大きな車にたくさんの荷物をつめて、ニュージーランドを車で旅している。

運転席と助手席しか座れるところはなかったけど、助手席に座っていた女性が後部座席の荷物の上まで移動して、助手席を僕に開けてくれた。

二人とも日本が好きで、フロントミラーにはサンリオのケロケロケロッピのぬいぐるみが吊り下げられている。

旦那さんがケロケロケロッピに似ているということだったけど、確かに似ていた。おっとりした男性だった。

彼は16歳のときに日本に留学したらしくて、たくさんの日本人の友達がいるということだった。

ちなみに、「どこの国の出身ですか?」と僕が聞いて、彼が「中国だよ」と答えたときに、二人とも緊張しているのを感じた。

初対面なのであまり突っ込んだ話はできなかったけど、異国での生活で大変なことがいろいろあるんだと思う。でも僕が「中華料理が大好きなんです」というと、彼らがホッとして、場が和んだように感じた。そして、ここであった差別的な体験談を一つだけ教えてくれた。

ちなみに僕がここで伝えたいことは、「政府」と「国民」はまったくの別物だということだ。個人をすっとばして、「政府」という色メガネで個人を決めつけるのはナンセンスだ。

そして、キャンプ場についた。二人とも親切な人たちだった。

ホームシック再び

キャンプ場につき、テントをたてる。

ベリーもベルもドネックもサムも誰もいないキャンプ場だ。

とにかく疲れていたので、立てたあとはすぐに中で横になった。

しばらく横になって、身体の疲れが落ち着いてくると、ニュージーランドに来て5日目に感じた、あの酷いホームシックがぶり返してきた。

キャンプ場を歩いていても、アジア人は僕だけ。テントの中にいると、外から聞こえてくる英語に心細くなる。

そして涙がとまらなくなった。

どれだけホームシック体質なんだろう、僕は。

本当はここで2泊する予定だったけど、明日の朝ここを離れよう。クイーンズタウンまで行って、なんとか安い宿を見つけよう。

今夜は大晦日。キャンプ場ではバンドグループがライブを始めた。耳栓をしても少し聞こえる。ニュージーランドの日は長い。21時なのに明るい。

早く眠ってしまいたい。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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