小学生のころ、クラスメイトの爪が羨ましかった。
僕もあんな爪がいいと思った。
あんな爪とは、手の指の爪の根元に半月のような白い模様が入った爪のことだ。
僕の爪には白い半月の模様がなかった。
その部分は皮膚で覆われていたので、白い部分が見えずに、ピンク色の爪だけだった。
クラスメイトの爪を見るたびに、その爪に描かれた白い半月が美しくて、魅力的で、そんな美しい半月の模様が欲しいという強い欲望に駆られていた。
僕の爪は、醜いと思っていた。
だから、コンパスの針や、鉛筆の芯で、爪の根元を毎日削っていた。尖ったもので、爪の根元を削ると、皮膚が破けて血が出る。破けた皮膚は、ちぎり取る。それを繰り返していると、徐々に白い半月模様が姿を現す。
僕にもあった!
と、嬉しかった。
夢中で爪の根元を削り続けた。血を流しながら、毎日毎日、皮膚を削る。
すると、血まみれの、きれいな半月模様が出てくる。
嬉しかった。
でも、何日か経つと、皮膚が回復してきて、半月模様を覆い隠してしまう。だから、何度も何度も、皮膚を削った。また半月模様を見るために。
当時の僕は小学生だったので、性欲はなかった。
でもクラスメイトの美しい爪が、僕にとっての当時の性欲のようなものだった。
あんな魅力的でたまらない爪が欲しい。あんな爪を見ていたい。
僕は、皮膚を削り続けた。
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