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登山を始めた理由は一目ぼれ、趣味が見つからなかった僕が変わった瞬間

昔の僕は趣味がなく、何に対しても特別な関心を持てずにいました。

何かに対して深く入り込んだり、熱い気持ちを持ったりする人間ではなく、自分の周りの出来事もどこか遠くで起こっているように、いつも感じていました。

そんな僕が登山を始めるようになったのには、あるきっかけがあります。それは「片思い」です。

27歳のころ、ある人に強烈に一目ぼれしました。そして、その人の趣味が登山でした。

登山をしたり、登山のことを考えている間は、その人と同じものを共有している気分になれました。そうすることで、幸福を感じ続けることができました。

そうしている内に、「登山」というものが自分のアイデンティティーへと変化していきました。

ですが、片思いを続けるのはつらいことなので、僕はその人との連絡を絶ちました。それでも、登山は僕のアイデンティティーと化していたので、続けることができました。

そうやって僕は、趣味を手に入れることができました。

「登山が趣味」と聞くと、「はじめて登った山の絶景が忘れられなくて」とか「自然が本当に大好きで」とか、そういった理由で始めたのかなと勝手に想像してしまいますが、「一目ぼれしていた人の趣味が登山だったから」というのが理由だという人も、語らないだけで、それなりにいるんじゃないかと思います。

何か趣味をつくりたい人に対していえるのは、入り口はなんでもいいということです。

昔は、登山のことを考えるときに一目ぼれしていた人のイメージがいつも重なっていましたが、いまでは登山のことには登山のイメージしか浮かびません。

これは僕の勝手な想像ですが、もしかしたら歴史上の偉人と呼ばれる人がその分野に取り組み始めたきっかけが、実は「一目ぼれ」だったということもあるんじゃないかと思います。本人は本当のことをいうのが恥ずかしくて、もっともらしい理由を作っていたりしたかもしれません。

それだけ、誰かに対する「一目ぼれ」や「憧れ」には強いパワーがあります

僕は何に対しても強い興味が湧かない人間でしたが、「一目ぼれ」をしたときに、自分ではコントロールすることができない「湧き上がるパワー」を感じました。そして、そのパワーが自分を変えてくれました。

日本には一億人以上の人がいます。

「外に出て、いろんな人と会えば、自分に衝撃を与えくれる人や、趣味ができるチャンスに出会う確率も上がる」ということを、物事に興味が湧かなかった昔の自分のような人に伝えたいです。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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