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【ロングライド ♯5】日本海が見たい!群馬・新潟・福島・栃木を走る680kmの自転車旅

もくじ

5日目

9時間も寝られた。爆睡だった。

出発後、いきなり7匹の猿と出くわした。

向かい風だけど、気持ちのいい風が吹いている。

3日目以降下がっていた気分は上向きで、すれ違ったサイクリストに挨拶をしていた。

昨日、禅僧の奥さんと話していた内容をずっと頭で反芻はんすうしながら漕いでいたら、いつのまにか川を越えていた。

この道はオートバイク乗りがめちゃくちゃ多い。

コンビニや道の駅に止まっても、走っていても、バイク乗りをよく見る。

実は3日目に、「自転車旅は2泊3日くらいがちょうどいいかもな」と思っていたけど、いまは、また少し楽しくなってきた。気分も程よく軽やかで自然な感じだった。

峠道に入る。

オートバイク乗りの人に手を上げて笑顔で挨拶をしたら、何人の人が返してくれるのか気になったので、やってみた。

1人目は会釈を返してくれた、嬉しい。2人目は無視された、多分シャイな人だ。

もっと試してみようと思ったけど、胸がドキドキしてきたので、やめた。

胸のドキドキが治まったので、再開する。

3人目は無視された。4人目、手をあげ返してくれた。5人目も手を上げてくれて、(顔出しヘルメットなので)笑顔もくれた。嬉しくなってきた。

6人目は、反応なし。これで3/6、確率50%。

7人目・8人目は二人組、一人が手を上げてくれた。

4/8、確率50%をキープ

9人目、会釈を返してくれた。
10人目、手を上げてくれた。

11人目も12人目も、反応をしてくれた。

8/12、確率はなんと85%!!

かなりの人が挨拶を返してくれることがわかった。

そして、ついに「福島県」に入る!

しばらく走ると、人だかりができていた。

なんだろうと思って、その中の一人に聞くと「もう少しで、SLが走るんですよ。だから、みんなカメラを構えて、そのときを待っているんです」ということだった。

僕は、興味がなかったので「まあ、いいや」と通り過ぎたけど、進んだ先にまた線路があり、そこにもカメラマンが集結していた。「やっぱり見てみたい」と、僕もその列に混じりカメラを構える。

そして、SLがやってきた!電車が好きというわけではないのだけど、この場の特別感に気持ちが盛り上がった。

「カシャ」っと、一枚撮る。

シャッターを押すタイミングが早かった、チキンレースみたいで面白い

カメラマンの中には笑顔で、SLの中に手を振る人もいた。その光景を見ていると、なんだか楽しくなって、その人に笑顔を向けたら、その人も笑顔を返してくれた。標準レンズしか持っていない素人だけど、一瞬、カメラマンの仲間になったような一体感が心地よかった。

その後も、ずっと同じ道を走っていたけど、爆音の車やバイクがまあまあ走るし、交通量が多いので、この道が嫌になってきた。静かな道を走りたい。

そういえば今日は日曜日だった。

国道を外れた。

別世界みたいに静かになって、心が安らいだ。あぁ、こっちがいい。

なんだか疲れていることに気が付いた。力が出ない。お腹が空いているからだ。

とりあえず休憩所の椅子に座り、新潟で買った柿の種の残りを食べる。でも、あまり変わらなかった。

喜多方市きたかたしに入った。

「喜多方に来たかった」というダジャレを何度も口にし、気分を盛り上げようとするけど、盛り上がらない。

ペダルを漕ぎ続ける。

「ご飯屋さんを見つけないといけない」と思い、ウロウロしながら走った。

ちょうど見つけたドライブインは満席。その次に見つけたラーメン屋さんは、ちょうど暖簾を下ろしているタイミングだった。近くに蕎麦屋さんがあるらしいので、行ってみることにした。でも閉店時間ギリギリだったからダメだろうなぁと、思っていたけど、店内に入ると快く迎え入れてくれた。

座敷に腰を下ろす。

「あぁ、この解放感がたまらん」と思いながらメニューを見て、ぶったまげた。

一番安い「ざるそば」で1050円もする。しかも、大盛りにするとプラス400円だ。だけど、「いまはそんなことを考えている場合ではない」と1450円のさるぞばの大盛りを注文した。

やまびこ

すごい!!!

「なんだか風格があるなぁ」と思って食べると、めちゃくちゃ美味しかった!

今まで食べたそばの中で、ダントツNo.1だった。あとで調べてみると、このお店は、地域で一位二位を争う人気店だということがわかった。

「ごちそうさまでした!」とお店をあとにし、今日のキャンプ場へ向かう。

でも、ご飯を食べたのに、いまいち身体に力が入らない、というか、気力がなえている。今回の長旅での疲れが、確実に身体と心にたまっているのを感じた。

過去の思い出、友人の言葉や表情、読んだ本の中の一節など、その場面場面を頭の中で繰り返し思い出し、気力を保っていた。

折れてしまいたくなる心が、折れないようにこらえて走る。耐えている。

思い出を食べているような感覚だ。

そして、今日のキャンプ場がある猪苗代湖いなわしろこに、やっと着いた。

とんでもなく、いいロケーションだった。

テントを立てて、中に飛び込んだ。

自転車旅で一番好きな時間は、テントの中やゲストハウスの中かもしれない。テントの中にいるのは最高の気分だった。

ただ、このキャンプ場は広すぎるので、一昨日や昨日みたいな一体感は味わえなかった。

この旅も明日で終わる。

この旅で僕はなにを感じられたのだろうか。頭の中にモヤがかかっているような気分で、正直、わからない。それでも、わからないながらも進み続けることが、いま僕が唯一持っている正解に思えた。

おにぎり135円
アイス128円
飲み物×3303円
ざるそば1450円
晩ご飯853円
キャンプ場無料
合計2869円
ざるそば、美味しかった!

6日目

今日が最終日。

とにかく家に帰りたい。頭の中は、家だらけだった。溜まっている疲労に気付かないふりをして、ペダルを漕ぎ続けた。

飲み物×2183円
昼ごはん1458円
うどん470円
合計2111円
昼ごはん、たまらず爆買いしてしまいました。

旅を終えて

この6日間、ものすごい量の人や車とすれ違い続けました。

人目を気にしてしまいがちの僕ですが、気にしていては旅はできません。この大量の人の中で、自分の大きさはチリのようなものでした。チリのような自分から見えた広い世界が、人目を気にする無意味さを教えてくれたような気がします。

とはいえ、そんなに魔法みたいに、自分がガラッと変われるわけではありません。ただ、それでも、いままでの自分よりも一歩前に進めたという事実がチリのように積もっていけば、なにか見えるのかもしれないという希望を持って、次の一歩へ踏み出したいと思います。

1日目3083円
2日目5250円
3日目2397円
4日目1744円
5日目2869円
6日目2111円
この旅の合計17,454円
テント泊だと、だいたい一日3000円に収まるんだね。
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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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