【昔の話】書道部でのろけてしまい、集団尋問に遭う。。

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次に選んだのは書道部だった。

僕は小さい頃から書道を習っていたので、ここでなら人気者になれるんじゃないかと思った。

書道部は部員数が十人くらいの小さな部活動だった。10人中7人が女性という割合の世界だった。

僕の高校は元男子校で、男子の割合が多かったし、中学生の頃は女の子と遊ばなかった。というのも、元々僕は小さいころから女の子としか遊んでいなかったんだけど、中学に上がると同級生の男の子からそのことをバカにされて、恥ずかしくなったからだ。

だからそのときから、いままで遊んでいた女の子と遊ぶのをやめて、男の子と遊ぶようにした。

そんなわけで、立ち振る舞いがよくわからず、あまり快適とは言えなかった。

だけどこの書道部の先輩である男性に、僕は惹かれた。(ちなみにいうと、僕は同性愛者だ)

彼は器が大きく、せこせこした感じがまったくなかった。誰に対しても分け隔てなく接し、優しさを人に与えられるような強い人に見えた。陰で彼の悪口を言っている人を見たことがあるけど、僕がそのことで、先輩を心配しなくても大丈夫だろうなと思えるような人だった。

そして、彼の字はとてつもなく上手かった。

僕は書道を20年間やっていたけど、そんな僕から見ても、途方のない上手さだった。だから余計に魅力的だった。

ちなみに、部内の男子とその先輩と僕の三人で「今度、居酒屋行こう」という話になった。

僕はその先輩に惹かれていたけど、実は本命の相手が別にいた。

その本命の彼は東京に住んでいて、僕は愛媛に住んでいた。だから、先輩に惹かれたけれど、本命は東京の彼だった。

そしてその彼との恋愛は人生で二度目のことだったので、僕は浮かれに浮かれていた。

一人目の相手と知り合うまでの18年間は、自分が同性愛者だという自覚がなかったので、恋愛自体が始められず、18年間溜まっていたその気持ちが、大学生になって初めて解放された。だから中学生のように浮かれていた。

ラブソングを聴き始めたのは、ちょうどその頃だった。

失恋ソングを聴いて泣けたのも、その頃だった。

これまでは、ラブソングの意味がよくわからなかった。

そんなわけで、浮かれていたんだけど、それとは別に僕は自分がゲイであるということを隠さなければならなかった。

僕がゲイであると周りの人にばれたら、「気持ち悪い」と避けられると思っていたし、そんな状況を想像するだけでも恐ろしかった。

だから本当は、このことを彼らに話して同じ気持ちを共有したかったけど、話せないので我慢していた。

だけど、我慢できなかった…。

ある日、みんなで居酒屋に向かった。

居酒屋でみんなと話している間も、僕は携帯(まだスマホじゃなかった)に夢中だった。

東京の彼から「メッセージが来るかもしれない!」と常に携帯をチェックしてた。

そのときの僕は浮かれまくってた。そして居酒屋の軽やかな雰囲気に押されるように、のろけたいという気持ちが溢れ出てしまった。

突然、「僕には彼女がいる」と話した。

「めっちゃ幸せな気分で、サイコー!」みたいなことをみんなに話した。

すると女性陣からたくさんの質問攻めを受けた。

それが嬉しかった。僕の、この、はちきれんばかりの嬉しい気持ちをみんなが共有してくれるんだと思って、彼女らの質問に喜んで答えた。もっともっと聞いてほしかった。

ちなみに、会話の中で、「彼」をすべて「彼女」に変換して話した。ただ「彼女」に変換するだけじゃ都合が悪くなりそうなところは、うまく嘘を混ぜた。ちょっと苦い気持ちだった。

だけど、嬉しさがはるかに上回った。

そして居酒屋が終わった後は、一人の女性の先輩の家で、僕のノロケ話をつまみに、みんなで飲み直しをすることになった。

先輩の1kのマンションに上がりこんだ。

女性陣7人全員が集まっている。男は僕一人だけになった。

少し、マズいかなと思った。ちょっと調子に乗りすぎたかもしれない、帰りたい気持ちになってきた。

そしていろんな質問を受ける。

全部、「彼」を「彼女」にうまく変換して答えてきたけど、次の質問に戸惑った。

「写メ見せて」

…。

「いやぁ、写メはないんです」ととっさに答えた。

すると、

「なんで!!?」

「そんなわけないやろ!?」

と不服の反応が嵐のように押し寄せてきた。

いや、確かにそうだ。あんだけのろけておいて、写メが一枚もないというのはおかしすぎる。わかる。だけど、見せられないんだ、写メだけは…!

だから、いろんな嘘をついて、話題を変えようとした。

だけど、僕の言葉には一貫性が全くないので、余計に怪しまれる。

彼女たちの質問が、尋問に変わった。

いや、わかる。そうだよね。わかる僕の今日の言動はおかしすぎる。だけど写メだけは、見せられないんだよ…。

僕は嘘をつくのをやめ、「理由があって、見せられない」と正直に言った。

すると「理由ってなに!?」と鋭い反応が返ってくる。

確かに!「自分の彼女の写メをどうしても見せられない理由」って、なんだ?逆に気になる。

そこでキャプテンの女性の先輩に「まずキャプテンにだけ見せていいですか?外を歩きながら見せたいです」と話した。

するとキャプテンは「わかった」と納得した様子で、僕と一緒に外に出ることを約束した。

他の人たちは「なんでー?」と口々に言っていた。(わかる)

キャプテンと一緒に外を歩きながら、重い携帯を開いた。そして二人で撮ったプリクラの写真を見せた。(なぜプリクラの写真かというと、なるべく女性っぽい、もしくは中性っぽく見えるきれいな写真を見せたほうが、気持ち悪がられる確率が低くなるんじゃないかと思ったからだ)

そしてキャプテンは「そういうことか、わかった」と短く言葉を返した。

キャプテンと二人で部屋に戻ると、「どうだった?」という声が聞こえた。だけどキャプテンが神妙な表情で「今日はお開きにしよう。何も聞かないで」というようなことをいった。

みんな不満を口にしながら、家に帰った。

それ以降、僕は書道部に行くのをやめた。

おそらく僕がゲイであるとバレただろうし、バレていなくてもバレるのは時間の問題だ。

ちなみにそのすぐあとに、東京の彼に「最初から恋人ではなかった」というようなことを言われて、フラれた。風の噂では、彼は相当の遊び人で、僕と付き合っている(と僕が思っていた)ときに6股していたようだった。

本当かどうかはわからない。

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著者

栃木県在住の35歳。

双極性障害二型(完解済み)・同性愛者。

34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越し、12年間続けた介助の仕事をやめて無職になる。精神安定剤代わりに始めた登山を、毎週続けているうちに、ニュージーランド1300kmのロングトレイルを歩くことができるようになった。フィリピン人の同性パートナーと一緒に生活をしながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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