【自分語り】調味料をなめるのが幸せだった

当ページのリンクには広告が含まれています。

小学生の頃、楽しみにしていたのは、調味料をなめることだった。

嫌な学校を終え、家に帰ると、すぐに台所に飛び込んだ。

引き出しを開けると、いろんな調味料が並んでいる。

それらを掌にとり、ペロペロなめるのが、至福のひとときだった。

学校での嫌なことを忘れられる時間でもあり、(寝ることと並んで)一日の中で最も幸せな時間だった。

とくに好きだったのは、「アジシオ」「だしの素」「みそ」「しょうゆ」「コンソメ」の五つだった。

それが僕の幸せだった。

ある日、学校から帰り、台所に駆け込んで、いつものように調味料をなめているときだった。

年が15歳ほど離れた兄に、その姿が見つかった。

兄と僕は離れて暮らしていたけど、ときどき、兄が家に遊びに来てくれていた。それも、僕を楽しませるために予告なしでサプライズで来ることが多かった。

僕はそれが好きで、学校から帰り、自分の家の前に兄の原付がとまっていると、いつも歓喜していた。

このときは、さらなるサプライズで原付を僕の目に見えないところにとめて、来てくれたようだったので、まさか兄が家にいるとは、みじんも思っていなかった。

調味料をペロペロなめている僕を見た兄は「なんしよん…」と、ひいた様子で僕に声をかけた。

僕は、恥ずかしくてたまらなかった。

自分の恥部をさらけだしたような恥ずかしさだった。

それ以降、調味料をなめることは封印した。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

著者

栃木県在住の35歳。

双極性障害二型(完解済み)・同性愛者。

34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越し、12年間続けた介助の仕事をやめて無職になる。精神安定剤代わりに始めた登山を、毎週続けているうちに、ニュージーランド1300kmのロングトレイルを歩くことができるようになった。フィリピン人の同性パートナーと一緒に生活をしながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

コメントが欲しくてたまりません、どうかコメントを…!!

コメント一覧 (2件)

  • 今ならもっといろんな調味料があるよね。ぱっと思い出せないけど、私にもそんなことしてた記憶があるよ。こっそりとやるから余計美味しい気がしたなあ。。。

    • またまた、ななさんもですね!
      ななさんに前にあったのが、だいぶ昔のことのような気がします。また会いましょう!

コメントする

もくじ