【自分語り】ゴミ捨て場に捨てられたぬいぐるみは笑っていた

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小学生低学年のころ、心がぎゅっと締め付けられる感覚を味わった。

家の近所のごみ捨て場に、ぬいぐるみが捨てられていた。

かわいい馬のぬいぐるみだった。

ぬいぐるみは穏やかな表情で笑っていた。かわいい表情だった。

でも、ゴミ捨て場の中で笑っていた。

ぬいぐるみは知らなかった、自分が捨てられたことに。自分が捨てられていることに、気付いていなかった。

それを見て僕は、耐え難い悲しみに襲われた。

自分が捨てられているのに笑っている、そのアンバランスさと不器用さが、たまらなくかわいそうに思えた。

悲しくてたまらなかった。そんな光景を見ているのが、つらくてたまらなかった。

母親に言うと、家に連れて帰ってもいいということだったので、家に連れて帰った。

大人になって、一人暮らしを始めて、そのぬいぐるみをまた捨てるまで、一緒に時間を過ごした。

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著者

栃木県在住の35歳。

双極性障害二型(完解済み)・同性愛者。

34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越し、12年間続けた介助の仕事をやめて無職になる。精神安定剤代わりに始めた登山を、毎週続けているうちに、ニュージーランド1300kmのロングトレイルを歩くことができるようになった。フィリピン人の同性パートナーと一緒に生活をしながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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