【自分語り】小学生のころ、爪の白い部分が欲しくてたまらなかった

当ページのリンクには広告が含まれています。

小学生のころ、クラスメイトの爪が羨ましかった。

僕もあんな爪がいいと思った。

あんな爪とは、手の指の爪の根元に半月のような白い模様が入った爪のことだ。

僕の爪には白い半月の模様がなかった。

その部分は皮膚で覆われていたので、白い部分が見えずに、ピンク色の爪だけだった。

クラスメイトの爪を見るたびに、その爪に描かれた白い半月が美しくて、魅力的で、そんな美しい半月の模様が欲しいという強い欲望に駆られていた。

僕の爪は、醜いと思っていた。

だから、コンパスの針や、鉛筆の芯で、爪の根元を毎日削っていた。尖ったもので、爪の根元を削ると、皮膚が破けて血が出る。破けた皮膚は、ちぎり取る。それを繰り返していると、徐々に白い半月模様が姿を現す。

僕にもあった!

と、嬉しかった。

夢中で爪の根元を削り続けた。血を流しながら、毎日毎日、皮膚を削る。

すると、血まみれの、きれいな半月模様が出てくる。

嬉しかった。

でも、何日か経つと、皮膚が回復してきて、半月模様を覆い隠してしまう。だから、何度も何度も、皮膚を削った。また半月模様を見るために。

当時の僕は小学生だったので、性欲はなかった。

でもクラスメイトの美しい爪が、僕にとっての当時の性欲のようなものだった。

あんな魅力的でたまらない爪が欲しい。あんな爪を見ていたい。

僕は、皮膚を削り続けた。

にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

著者

栃木県在住の35歳。

双極性障害二型(完解済み)・同性愛者。

34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越し、12年間続けた介助の仕事をやめて無職になる。精神安定剤代わりに始めた登山を、毎週続けているうちに、ニュージーランド1300kmのロングトレイルを歩くことができるようになった。フィリピン人の同性パートナーと一緒に生活をしながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

コメントが欲しくてたまりません、どうかコメントを…!!

コメントする

もくじ