怒りの感情を抑えるのが苦手な人の強み

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僕は、怒りの感情を抑えるのが苦手だ。

感情を自分の内側にとどめておくための器がものすごく小さいからだ。

だから、嫌なことをされると即座に怒りを感じて、その感情を抑えようと頑張っても、声が怒りで震えたり、体全身が怒りのエネルギーで満ち溢れてしまう。そしてそれを隠すことができないし、怒りの衝動をそのまま抱えることができない。

自分の感情の器が小さすぎて、怒りが器からはみ出してしまう。

だから、なにか嫌なことをされたときや不当なことをされたときに、怒りの感情に押し出されるように、言い返したり、怒りを表現したりすることがよくある。

そのことを友人に話すと、「相手に対して自分の怒りや主張を表現できることがすごい」と言われることがある。

普通は、言いたいことを言えずに、我慢してしまうからだ(我慢することができるともいえる)。そして怒りの感情が自分の内側にどんどんたまっていって、それがジワジワと腐っていく。あるとき、それが誰かに対して「嫌味」という形で発露されたり、不満がたまることで、関係のない人や関係のないことに対しても怒りが湧いてしまうという結果になる。

もちろん、僕にもこういうことはある。

だけど、ここで言いたいのは、僕が嫌な気持ちを感じたときに怒りや意見を言えるのは、僕がすごいからではなく、僕の感情を内側にためこめる器(キャパシティ)が異常に低いからだと思う。

嫌なことに対して冷静に「主張しよう」「主張しなくては」と思ってやるというよりも、「この怒りを出さなければ、自分が狂ってしまう」という追い詰められた精神状態からきている、というのが正確な描写になる。

ちなみに、僕は双極性障害をもっているけれど、疾患にかかるまでは自分の感情の器は大きかった。

普通に嫌な感情や怒りを我慢して、それなりにやりすごせていたし、怒りのコントロールもできていた。だけど、病気が発症してから、感情の器が小さくなり(または感情が大きくなり)、怒りなどの感情を抑えることができなくなった。

このことは弱みでもあり、強みでもあると思う。

まず弱みから見ていくと、会社のような集団の中で働いているときは、こんな特徴を持っていると、ものすごく苦しいことになる。

会社という人間の集まりの中では、人間関係が大事なので、それをうまく運ぶためにも感情のコントロールが大事になってくる。

でも僕のように感情を抑えておくことができない人間が会社で働くとき、怒りのような強力な感情を感じて、それを出さないと自分がおかしくなってしまいそうなときでも、無理やり抑え込むしかない。それは相当なストレスになる。

実際に僕が会社で働いていたころ、抑え込み続けていたストレスが限界を迎えて、3回ほど職場で爆発してしまったことがある。一般的に、やってはいけないことをやってしまった。

幸いなことに、僕は精神障害者として「障害者雇用」で働いていたし、あらゆる障害に対して理解が求められる会社だったので、大事には至らなかった。

でも、そんなことがあった。

次に、強みをあげようと思う。

それは、ある特定の人との人間関係がうまくいくことだ。

もう少し加えると、その人たちと長くいい関係を築き上げることができるということだ。

例えば、僕とパートナーとの関係はすごく安定している。

その理由は、不満や不快な感情を我慢して、心の奥に抑えつけておく能力が僕にはないからだ。自分の心の器のキャパシティが小さすぎて、怒りや不快な感情を心にしまい込んでおくことができないからだ。

一般的なイメージだけど、夫婦やパートナー同士の関係がこじれる原因には、これまでの溜まりに溜まった不満や怒りがついに爆発して、相手のことが嫌になるということが考えられる。いままで言いたいことを我慢して言えてこなかったので、そのときに言えていたら修正できていたであろうお互いの考えや態度も、修正しないまま、それが積み重なった結果、お互いの心がどんどん離れていくということが起きているんじゃないだろうか。

そういう意味で言えば、僕のような感情を抑える能力が小さい、または心の器が小さい人間は、不満があるたびに、それを相手に伝えるしか選択肢がない。我慢しておくということができないからだ。

そして、そのたびに自分の本音を相手に伝えることができ、修正を繰り返しながら、お互いに対する理解を更新しながら、いい関係を作り続けていくことができるんだと思う。

ただし、これには条件がある。

本音でコミュニケーションをとることに対して積極的な人で、僕のような感情を出されることに、そこまで抵抗感がない人に限られる。

ただ、この世の中にはそういう人もそれなりにいると思う。

僕と付き合うことに疲れたり、嫌だったりする人は離れていくだろうけど、そうじゃない人は残ってくれる。だから、自分の素のままでいてもいい。素のままでいると、結果的に、自分と長くお付き合いしてくれる人だけが、自分の周りに残ることになる。

ちなみにこの話は、パートナーや配偶者に限った話ではなく、友人関係でもいえる話だ。

昔、こんなことを言われたことがあった。

「りゅうやくんは、不満があったら、それを直接表現してくれるからいい。他の人は、なにを考えているのかわからないときがあって、どう接したらいいかわからなくなるときがある」

だから、感情を抑え込むのが苦手で、人間関係をうまくやることができない僕のような人にも、こういった強みがある。

ただし、あまりにも感情が強すぎて、怒りを暴力や暴言で表すことしかできないとなると、また話は変わってくるので、ここでは怒りの感情に支配されながらも言葉で、かつ、相手の人格攻撃をしない程度に感情をコントロールできるという前提で話している。

僕のような人間は、人間関係で「うまく」やっていくことは難しいかもしれないけど、僕のような人間だから、ずっと付き合いたいという人も存在してくれるのだ。

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著者

栃木県在住の35歳。

双極性障害二型(完解済み)・同性愛者。

34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越し、12年間続けた介助の仕事をやめて無職になる。精神安定剤代わりに始めた登山を、毎週続けているうちに、ニュージーランド1300kmのロングトレイルを歩くことができるようになった。フィリピン人の同性パートナーと一緒に生活をしながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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