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【ロングライド ♯1】広島・山口・福岡・大分の海岸線を走る450kmの自転車旅

もくじ

1日目

朝、6:30にアラームで目が覚めた。

まずは地元の愛媛からフェリーで広島の「くれ」まで行かないといけない。いつも家で寝るときに掛布団として使っているシュラフを袋につめて、自転車のバッグに詰めようとしたけど、入らなかった。

フェリーの時間が迫っているので焦る。

持っていく予定だったクッカーとインスタントラーメンをあわてて装備から外して、出発した。

10kmほど走ると、「松山観光港」に着いた。

朝日に照らされる、高鳴る期待。

係の人に言われた場所で、船が来るのを待っていた。

するともう一人、グラベルロードバイクにバッグを取り付けた外国人がやってきた。

声をかけてみたいんだけど、見ず知らずでいきなり話しかけるのは変なのだろうか、英語で話すよりもまずは日本語で話した方がいいのだろうかと、あれこれ考えながらながら、中途半端なトーンで「ハロー」とあいさつをした。

すると、少し恥ずかしそうな笑顔で、おじぎを返してくれた。

シャイな性格の人なのか、日本式の控えめな態度に自分を順応させているのか、ただ単純に朝だから眠たいのかと、いろいろ考えたあと「あまりズケズケ話しかけるのはよくなさそうだな」と判断し、二人で静かに船を待つ。

sea paseo

そして、船に乗る。

いい天気!

久しぶりの旅だったので、気分が高湯していた。

まずは船内を冒険する。

世界にはこんな木があるのか!
世界の「翻訳できない言葉集」を読んでいた。

そして、広島県の呉に到着した。

自転車を停めてあるフロアに降りて、下船の準備をしているときだった。

隣に停まっている白い車の中から降りてきたおじちゃんが、僕に話しかけてくれた。

「話しかけてもいいのかどうか」というような緊張したトーンで、自転車のことをたくさん尋ねてくれる。僕も、嬉しいのでいろいろと質問をする。

どうやら「大分に住んでいる娘さんに、奥さんと二人で島根から会いにいった帰り」ということだった。

しばらく話したあと「お気を付けて!」と、お互いにさよならをした。いきなり誰かと話ができて、気分が爽やかになった。

そして呉に降り立つ。

旅が始まるぞ、とワクワクした。

自転車にバッグを取り付けて走っていると、羨望と好奇のまなざしを浴びる。

かなり多くの人が興味津々でこちらを見ていたので、走っていて気持ち良かった。

僕の自転車を見て「いいねぇ!」という笑みを浮かべている人も何人かいて、それだけでも、励まされているような気分になった。そして「僕はいま、旅をしているんだなぁ!」という気持ちに浸りながら走る。

お昼は、ゆめタウンのなかにある「丸亀製麺」で食べた。

自転車旅に必要なエネルギーや塩分、水分の補給ができる貴重なタイミングだ。スープも全部飲み干したので、お店を出てしばらくすると尿意に襲われた。

「どこかにトイレはないか」と走り、見つけた。

おあがり場公園

そして、嬉しいものもあった。

無料のドリンクバーだ!

弾ける水滴!

節約生活をしている僕にはありがたい。

そしてしばらく水分不足の心配からも解放される。無料なのに、これだけ嬉しい気持ちを味わえる。心が潤った。

そのあとは、広島の中心地を越えて、またしばらく走り続けた。

宮島です!

そしてついに、山口県に入った!

県の看板をみると興奮する!
山口県は夕暮れの街だった。
岩国駅です!

この旅では毎晩、キャンプ場でテントを張って寝ようと思っていた。

だけど、この日の目的地であるキャンプ場は、まだここから50km以上あった。そして陽が暮れるにつれて、どんどん心細くなってくる。

「ホテル、取ろう」

しばらく我慢して走っていたけど、そう思った。

「いまホテルに到着できたら、どれだけホッとするだろうか」と思うと、これ以上走る気にならなかった。

無事、岩国でホテルがとれたので、夕食のご飯屋さんを探すために付近をウロウロする。

昼は、丸亀製麺に行ってしまったけど「旅なんだから個人店にいって冒険しないとな」と思い、美味しそうなお店を探す。

そして見つけた。

「花園」

これが、アタリだった!

ラーメンとから揚げとチャーハンのセットが美味くて、ほおばりながら食べる。「あぁ、たまらん」と、美味しい料理が胃に収まっていく幸せを感じた。

そのあとは、ホテルに向かう。

名前は「AZホテル」。

館内にロードバイクを置かせてもらえないか尋ねたところ「ロードバイクは、部屋まで持っていっていいですよ」とのことでした。

よっしゃ!

しばらくベッドに座って、今日の出来事を思い返していた。

たくさんの人とすれ違った一日だった。

その中には嫌な感じの人もいたけど、それ以上に感じのいい人や、爽やかな挨拶をくれる人もいた。フェリーでは、話しかけてくれる人もいた。よかったことの方を覚えておかないとな、と思った。

そして、お風呂に入り、着ていた服を風呂場で洗濯する。

備え付けの温かい玄米茶を飲んで一息ついたあと、部屋の灯りを消して、旅の一日目を終えた。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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