日本とNZを行き来する
ニュージーランドに来てから、夜寝ている間に、日本の夢を見ることがある。
慣れ親しんだ日本で、日本人の誰か、もしくはパートナーと、日本語で話している夢だ。
とても快適で、心地のいい夢だ。
そして、目が覚めて「あぁ、そうか。ここは日本じゃなかったのか」と気がつく。
こんな経験を、ここに来てから何度も繰り返している。
そして、日中はニュージーランドを歩き、夜になると、また日本に帰る。
贅沢な往復だ。

アフリリ・リバー
今日は大きな川を渡渉しなければならない日だ。
テアラロアは毎日違った表情の自然を歩くので、飽きない。毎日、何かしら新しい景色がある。
天気は晴れ。いけそうだ。

最初は山の間を歩く。
今日は歩きやすい道なのでスイスイ進む。

そして山を登る。
山頂では、ドイツ人女性のマヌーがご飯を食べている。

マヌーは実は、テアラロア16日目に知り合った。彼女はとてもシャイで、優しいけど、どこか逞しさを感じさせる人だ。いつも、眺めのいい自然の中でお昼ご飯を食べている。
一緒に歩こうとしているわけではないんだけれど、ペースが同じなので、離れては再会しを、繰り返している。
テアラロアのゴールまでの間に、また何度も会いそうだ。

山頂から下ると、「Tin hut」というハットが見えた。ここは1000円を払わないといけないハットだし、まだまだ歩けるので素通りする。

ただ、このハットのトイレが面白かった。
山の中腹に建てられたこのトイレには、ドアがない。

ものすごい開放感の中で、綺麗な自然を見ながら大便ができるというわけだ。
そして歩いていると、雨が降ってきた。いままでの雨とは違って、大粒の雨だ。

ここに来る前は、NZはスコールのような短時間の激しい雨が特徴だと聞いていたけど、今日まで28日間、一度もそんな雨は降っていなかった。
だけど、やっと今日、評判通りの雨が降ってきた。しかも、アフリリ・リバーの渡渉前に。
水量が増える前に渡らないとと、急いで歩いたけど、雨はすぐにやんだ。
そしてしばらく歩くと、ついにアフリリ・リバーが見えた。

おそらくここが、テアラロア南島で一番危険な川の渡渉だ。
見た感じは、全然楽に通れそうに見える。

だけど、実際に川の中を歩いてみると、身体が水流に持っていかれそうになる。
気が引き締まる。下半身の筋肉もぎゅっと引き締めて、流れに持っていかれないように集中する。
身体を支える二本のストックのアルミニウムが、水流の圧を受けてブルブルと震えている。それを見て怖くなる。
だけど、なんとか無事通り抜けた。
冷たい風の温かさ
そのあとは今日のキャンプ場に向かって歩く。
今朝は晴れていて暖かかったけど、いまは曇っていて、冷たい風が吹いている。

冷たい風を浴びながら歩いていると、温かい思い出ばかりがよみがえる。人間はそんなふうにできているのかもしれない。そして温かい思い出に浸っているあいだ、風の冷たさを忘れていた。
キャンプ場につくと、先に出発していたベリーがいた。
いつものように、川で身体を洗ったあと、一緒に喋りながら晩ごはんを食べる。

今日は風が強いので、ニュージーランドの強力な蚊「サンドフライ」も寄ってこない。
そして、それぞれのテントに戻り、一日の終わりに向かう。

今日はどんな夢を見るだろうか。
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