【テアラロア Day29】昼はニュージーランド、夜は日本

もくじ

日本とNZを行き来する

ニュージーランドに来てから、夜寝ている間に、日本の夢を見ることがある。

慣れ親しんだ日本で、日本人の誰か、もしくはパートナーと、日本語で話している夢だ。

とても快適で、心地のいい夢だ。

そして、目が覚めて「あぁ、そうか。ここは日本じゃなかったのか」と気がつく。

こんな経験を、ここに来てから何度も繰り返している。

そして、日中はニュージーランドを歩き、夜になると、また日本に帰る。

贅沢な往復だ。

アフリリ・リバー

今日は大きな川を渡渉しなければならない日だ。

テアラロアは毎日違った表情の自然を歩くので、飽きない。毎日、何かしら新しい景色がある。

天気は晴れ。いけそうだ。

最初は山の間を歩く。

今日は歩きやすい道なのでスイスイ進む。

そして山を登る。

山頂では、ドイツ人女性のマヌーがご飯を食べている。

マヌーは実は、テアラロア16日目に知り合った。彼女はとてもシャイで、優しいけど、どこか逞しさを感じさせる人だ。いつも、眺めのいい自然の中でお昼ご飯を食べている。

一緒に歩こうとしているわけではないんだけれど、ペースが同じなので、離れては再会しを、繰り返している。

テアラロアのゴールまでの間に、また何度も会いそうだ。

山頂から下ると、「Tin hut」というハットが見えた。ここは1000円を払わないといけないハットだし、まだまだ歩けるので素通りする。

ただ、このハットのトイレが面白かった。

山の中腹に建てられたこのトイレには、ドアがない。

ものすごい開放感の中で、綺麗な自然を見ながら大便ができるというわけだ。

そして歩いていると、雨が降ってきた。いままでの雨とは違って、大粒の雨だ。

ここに来る前は、NZはスコールのような短時間の激しい雨が特徴だと聞いていたけど、今日まで28日間、一度もそんな雨は降っていなかった。

だけど、やっと今日、評判通りの雨が降ってきた。しかも、アフリリ・リバーの渡渉前に。

水量が増える前に渡らないとと、急いで歩いたけど、雨はすぐにやんだ。

そしてしばらく歩くと、ついにアフリリ・リバーが見えた。

おそらくここが、テアラロア南島で一番危険な川の渡渉だ。

見た感じは、全然楽に通れそうに見える。

だけど、実際に川の中を歩いてみると、身体が水流に持っていかれそうになる。

気が引き締まる。下半身の筋肉もぎゅっと引き締めて、流れに持っていかれないように集中する。

身体を支える二本のストックのアルミニウムが、水流の圧を受けてブルブルと震えている。それを見て怖くなる。

だけど、なんとか無事通り抜けた。

冷たい風の温かさ

そのあとは今日のキャンプ場に向かって歩く。

今朝は晴れていて暖かかったけど、いまは曇っていて、冷たい風が吹いている。

冷たい風を浴びながら歩いていると、温かい思い出ばかりがよみがえる。人間はそんなふうにできているのかもしれない。そして温かい思い出に浸っているあいだ、風の冷たさを忘れていた。

キャンプ場につくと、先に出発していたベリーがいた。

いつものように、川で身体を洗ったあと、一緒に喋りながら晩ごはんを食べる。

今日は風が強いので、ニュージーランドの強力な蚊「サンドフライ」も寄ってこない。

そして、それぞれのテントに戻り、一日の終わりに向かう。

今日はどんな夢を見るだろうか。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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