【テアラロア Day52】汚れた自分は可でも不可でもなく

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汚れた身体

トレイルに入って二日目の朝。

シャワーを浴びられないので、身体が汚れていて気持ちが悪い。

ところで僕は、自分がきれいな人間でありたいと無意識に思い続けてしまう。

もちろん僕はそんな人間じゃない。

大きな動物を傷つけると可哀想だと思うくせに、歩くときに踏み潰す何百という小さな虫に対してはなんとも思わない。自分のなかにある問題を反転させて、人の生き様や言葉、出来事に対して勝手に感動して涙を流したりする、自己中心的な人間だ。

いままで、誰かに対して酷いことや姑息なことをたくさんしてきたし、言ってきた。自分の弱さから逃げ続けることで、いろんな人を傷つけたし、自分の醜さを見せつけられた。

ちなみにいうと、人間は大体こんなもんじゃないかと思っている。

でも、自然のなかで黙々と歩きながら生活をしていると、自分の汚さが嫌でも輝いてしまう。

汚くてもなんでも、それでも生きている、ここに存在し続けているという状態が、大自然のなかで、いいとか悪いとかそんな人間の考えを超えた事実として、ただ、あった。

テアラロアを歩く人の国籍

そして朝9:30、出発する。

この日も川沿いを歩く。

ちなみに、この川沿いには赤い岩が多かった。

いい天気だ。

反対方向から来たTAハイカーとも、一言だけ挨拶をして、立ち止まらずに、そのまま歩く。

テアラロアを始めた頃は、いろいろと話し込んでいたけれど、こんなに数が多いとさすがに話すのに疲れてくる。

途中、河原で座って休んでいると、遠くにハイカーが歩いていたので、手を上げて軽く挨拶をする。

すると彼女がこっちに近づいてきた。どうやら、ストックが中で詰まってしまったようで、僕と彼女でストックの両側をタイミングよくひっぱって、直した。

ガブリエルという名前で、フランスから来たらしい。

お互いに自己紹介をしたあと、ここから13km先にテントを張るのにいい場所があると教えてくれた。でも、ここまで10kmをすでに歩いているので、さらに13kmも歩くことはできない。

「楽しんで!」とお互いにいって、別れる。

そしてそのあとは、森の中を歩く。

ちなみにTAハイカーはほとんどが欧米の人だ。僕が会った人のなかでは、フランス・ドイツ・オランダ・カナダ・アメリカから来た人が多かった。

アジア人は滅多に見ない。

でも、アジア人のなかでも日本人は群を抜いて多い。これまで日本人6人、台湾人1人、中国人1人とすれ違った。

でも、それだけだ。

とにかく欧米の人が多い。

テントの中は天国

今日はなるべく長く歩こうと思っていたけど、久しぶりにトレイルに入ってまだ二日目なので、身体中が筋肉痛だし、体力も落ちていた。

なので、目的地の手前でテントを張る。

大体いつも、朝の9:00に出発して夕方17:00くらいにテントを張る。ハイカーという名の仕事をしているみたいだ。

そしていつも、13:00くらいになると疲れ始めるので、テントを張って中でのんびりしたいなと思うようになり、歩いている道にテントが張れそうな場所を見つけるたびに、「あぁ、ここにテントを張って休んでしまいたい」という衝動に駆られる。

それでも頑張って17:00まで歩いたあとの、テントの中は、まるで天国だ。

まずは身体を拭き、寝巻きに着替える。そして紅茶を沸かし一服したあとに、ストレッチをして、晩ごはんを食べる。そして、ぼーっとのんびりしながら、日本の音楽をかける。

いつも寝るのが22:00くらいなので、5時間も自由な時間がある。

歩き疲れたあとに、ぼーっとする瞬間ほど心地いいものはない。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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