ロングトレイルの魅力は「もう一つの小さな人生」を体験できること

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ロングトレイルの魅力

ロングトレイルは一つの大きな旅なので、単純にそれ自体が楽しいのですが、ここでは「もう一つの小さな人生を体験できる」ことについて語ろうと思います。

突然ですが、人生で悩むことはありますか?

先のことを心配したり、不安に思ったりして、今に集中できていないと感じるときはありますか?

いつも不安の中にいませんか?

そんな不安に囚われている自分を少しでも解放してくれるのがロングトレイルです。人生なんとかなるさと思えるようになるのがロングトレイルの魅力です。

僕はニュージーランドのロングトレイルを二カ月半歩いたのですが、その二か月半は人生の縮図のような時間でした。

普段、惰性で過ごしている時間とは違って、ロングトレイルを歩いているときは一日一日が充実しているし、たくさんの出会いがある。それに伴っていろんなことが起こる。いろんな経験ができる。

濃厚なロングトレイルでの二カ月半は、惰性で生きる10年に匹敵します。

なんとかなるさ

そんなロングトレイルを歩いていると、いろんなトラブルが起こります。

僕の場合は、ニュージーランドの広大な山の中で、風邪をひき、両足に大きな水膨れができ、腰に感染したシコリができるという三重苦を味わうことになりました。

そんな状況なので、毎日少しか歩けません。

だから、食料が山の中で尽きてもおかしくはありませんでした。だけど、そのときだけ、幸運なことに僕は必要な食料数の倍の量を持ち歩いていたのでなんとかなったし、一緒に歩いていた仲間が車を一般市民から借りて、レスキューに来てくれたので助かりました。

他にもいろんな小さなアクシデントがあったのですが、そのたびに誰かや何かに助けられて、無事歩き終えることができました。

そんな風に、「小さなもう一つの人生」であるロングトレイルの中で、アクシデントがあってはなんとかなり、不安なことがあっては杞憂に終わり、という経験を何度もくり返すうちに「まぁ、あんまり心配しなくても大丈夫だな。今も心配なことがあるけど、今回も、なんとかなるだろう」と思えるようになりました。

ちなみに、ニュージーランドのロングトレイルであったいろんなアクシデントは日記という形で記事におさめているので、興味があったら読んでみてください。

トレイル・プロバイズという言葉

そんな風に「まぁ、なんとかなるさ」と思えるようになったのは僕だけではありませんでした。

一緒に歩いた、いろんな国から来たハイカーも「アクシデントやトラブルがあってもなんとかなった」という経験を繰り返していたようでした。

そんな彼らがときどき口にしていたのが「トレイル・プロバイズ(Trail provides)」という言葉でした。

「トレイルが与えてくれる」という意味です。

「何かあってもトレイルが与えてくれる。(だから先のことは心配するな)」という意味です。この言葉はどうやらロングトレイル界隈では有名な言葉のようでした。

人生という箱の存在に気が付く

ちなみに人生を長く生きた人も、いろんなトラブルを乗り越えてきたことで「なんとかなるさ」と思えるようになるんだと思います。

でも僕はまだ35歳なので、そんな風には思えませんでした。

だけど、ロングトレイルという凝縮された人生のなかで「いろんなことがあってもなんとかなる」という経験を繰り返すことで、「なんとかなる」という感覚が少しつかめたような気がしました。

というのも実際の人生だったら、トラブルやアクシデントの間隔が長すぎて、それを「一つの人生の中で起こったこと」だと捉えにくいんだと思います。

のぺーっと伸びているただただ長い人生のところどころで何かが起きるだけなので、「なんとかなる」感覚が掴みづらいんだと思います。

「二カ月半に凝縮されたロングトレイルの中でたくさんの出来事が起きる」というのは、小さな箱の中に自分がいて、神様がそれを持っている。そしてその箱を強く振られることで、箱の壁に何度もぶつかるようなものです。箱の壁にぶつかるというのはトラブルに遭遇することを意味します。

その箱の中で揺さぶられて壁にたくさんぶつかることで、自分が四角い箱(人生)の中にいるという感触が得られます。それと同時に、いくら強く振られても箱から飛び出してしまうことはないんだな(なんとかなるんだな)という感覚も得られます。

おわりに

ちなみにですが、ロングトレイルを通じて「人生なんとかなる」という感覚を得られるといいましたが、僕の場合はうっすらと得られたくらいです。

僕は不安を感じやすく、心配症なので「人生は100%大丈夫」だとはまだ思えません。

でもあきらかに、ロングトレイルの経験が自分を支えてくれるのを感じます。

なので、この先ももっといろんなロングトレイルを歩こうと思っています。

そして、ロングトレイルの魅力はこの記事で紹介したことだけではありません。まず旅自体が楽しいし、いろんな人や景色に出会えます。いろんな美味しい食べ物を食べたり、いろんな天気の中を歩いたりして、いろんな感情を味わえます。

ネガティブな感情もいい感情も、ロングトレイルのなかで味わい尽くす日々です。そんな日々はなにものにも代えられない宝物になりますよ。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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