【テアラロア Day34】テアラロアが好きになる

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楽しいだけじゃない

朝起きて、キッチンまで水を汲みにいき、自分のテントに戻ると、隣のキャンピングカーの人が「グッモーニング!」と声をかけてくれた。

「グッモーニング!」と返して、会話を始める。ニュージーランドの人は、本当に会話を始める敷居が低いので、好きだ。

歩き旅で南島を縦断することを伝えると、驚いた表情が返ってきて、なんだかテンションが上がってきた。

そして「歩き旅、楽しめてる?」と聞かれて、「楽しんでいるけど、ネガティブな感情もたくさん味わっています。ホームシックになったり、疲れたり、心細かったり、ストレスを感じたり…」と返すと、彼が「それはそうだよ!」というような表情で何度も大きくうなずいてくれた。

その反応を見て、「あぁ、そうか。ネガティブな感情を感じまくることも、自然なことなのか」と思い、なんだか気が楽になった。

アジア人

そしてテアラロア南島の、ほぼ最後の街「テカポ」を出発する。

ここは観光に来ているアジア人が多い。

テアラロアをはじめてから、北上するにつれてアジア人がどんどん多くなっていく。そして「自分と同じアジア人だ」と思い、ホッとする。

アジア人じゃなくても、英語じゃない言語を喋っている「外国人」が近くにいると「あっ、あなたも外国人でしたか。私もです」とホッとする。

日本にいる外国人もこんな気分なのかもしれないなぁ。

一人ぼっちかと思ったら

今日も一人で歩く。

ベリーは一日先にいる。

最初はロード歩きだ。そしてそのあと、久しぶりの山に入る。

少しホッとする。

そしてしばらく歩いていると、女性三人が座って休憩していた。「ハロー!」と声をかけると、サムとマヌーがいた!

そして残りの一人は「ルルー」という名前の、地元の人だ。

彼女は18歳で、高校を卒業したばかり。お父さんと一緒にこのテアラロアを歩いているらしい。

そしてルルーが「ハロー!確か名前はりゅうやだよね?」と答えてくれた。「なんで知ってるの?」と返すと「ケイロブがりゅうやのこと話していたよ」と返ってきた。

しばらく前に一緒に歩いた、アメリカ人のケイロブだ。どうやら彼は自転車でロード歩きの区間をスキップして、僕の一日先を歩いているらしい。

そしてルルーのお父さんは、一人で先を歩いているらしい。

サム&マヌーと話したあと、4人で出発する。二日間ほど一人ぼっちだったので、久しぶりに誰かと歩いて、気持ちがホッとした。

しばらく歩いて、ルルーのお父さん「ジョース」と合流する。5人で歩くと、心強さが全然違う。

僕はずっとサムと話しながら歩いた。

そして川のそばのフラットな場所にそれぞれテントを張って、川で身体を洗い、晩御飯を食べた。

ルルーが積極的に話しかけてくれた。

サムともよく話すし、マヌーやジョースとも少し話せた。

ニュージーランドに来てから、当たり前のように人と会話をしている自分に、ふと気付き、驚いた。

日本にいるときは、ここまでいろんな人と話す機会がなかったから、僕は会話がかなり苦手だと思っていた。

でも、ここでは普通に話している。

川のそばに張られた五つのテントを見ていると、小さな村に住んでいるような気分になった。

村の人と気軽に話して、綺麗な景色を見ながら、気ままに晩ごはんを食べる。なんていい生活なんだろう。

テアラロアに恋をし始めたような気がした。

もちろん僕には言葉の壁があるし、いつか日本に戻って、パートナーと再会できるというゴールがあるから、そう思えるということもわかっている。

でも、この生活なんかいいなと思った。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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