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【テアラロア Day3】スタート地点のブラフからいよいよ歩き始める

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いざ、スタート地点へ!

朝8:30、バスに乗る。

そしてスタート地点のブラフに着いた。ここは観光地でもあるので、他にも何人か人がいた。

有名な看板と写真を撮っている人たちを羨ましそうに眺める僕に気付いたアメリカ人が、写真を撮ってくれた。

そして、歩き旅が始まった。

この歩き旅は二年前に計画した。海外に一人で行くこと自体も初めてだったので、僕にとっては人生大一番の大チャレンジだった。

でも、その夢の舞台に自分がいるという実感が全く湧かなかった。

そして初めての道を歩く。

長いように見えて、一瞬で終わる3ヶ月。いま歩いている道もやがて終わる。長く思える3ヶ月も一瞬で終わるからこそ、この「今」の時間が今だけ永遠に思える。

最初の山を登り、何人かと会話をした。

そのあとは海岸線に沿って、牧場を歩いた。どこが道かわからず、ウロウロ歩いていた。

ふと左を見ると羊がいた!

そして牛もいる!

牧場歩きを終えると長いロード歩きだ。

歩道を歩いていたら、後ろから「プップップップッブー!!」とクラクションが聞こえて、ビックリした。振り返ると、車の中の男性がグッドサインをこっちに送っていた。

手を挙げて、ありがとうと伝える。

ビックリしたけど、嬉しかった〜。

高すぎる言葉の壁…

ところで、こっちにはフレンドリーな人が多いから、いろんな人に声をかけている。

挨拶だけや、一言交わすだけなら気持ちよく終われるんだけど、二言以上話すと相手の英語がわからなかったりして、聞き返したり、何度も尋ねたりするので会話のテンポがガタガタになる。

それが相手の負担になっているなと、感じる。もちろん相手はそんな様子は見せないように笑顔で対応してくれるんだけど。

だから、ちょっと人に声をかけるのを躊躇し始めていた。

英語が話せても、ネイティブレベルじゃないと、言葉の壁はなかなか超えられないのかも。

でっかい植物!

だから、第二言語として英語を話す国の人と英語でやりとりすると、ホッとする。

英語のペースがゆっくりだし、お互いに母国語ではないので、第二言語を使いながらコミュニケーションを取ることの大変さと、難しさを、お互いに前提としてわかっているので、変なプレッシャーがない。

だから、外国にきて、その土地の人ではなく、その土地にいる「外国人」と話すときは、かなりホッとする。

ドイツ人ハイカーに出会う

延々と道路を歩き続け、夕方の17時になった。

昼間は暑かった日差しも、肌寒い風に変わった。そして、広大な景色を見て心細く、不安になった。

「まだ1300km中の30kmくらいしか歩いていないのに、こんなに心細くて大丈夫か」と心が一瞬、寒くなる。

だけど、そういうときは、顔を上げずに下を向けばいい。下を向いたときに見えるのは、地面に浮かび上がる自分だけの世界だ。下を向いているからって、誰に責められるわけでもない。

寂しい時は、不安な時は、下を向けばいい。そうしたら誰かが助けてくれるかもしれないし。

そう思っていると一人のTAハイカー(テアラロアハイカーのこと)に出会った。

ドイツから来たらしく、ドミトリー近くまで一緒に話しながら歩いた。

彼は仕事を辞めて、「その日暮らし」の道を選んだらしい。「人はそういう人のことをホームレスと呼ぶけれど、自分はそんな風にネガティブには思わない。自由がある」といっていた。

彼は以前にテアラロアを歩いたことがあるらしく、その後にそう思ったそうだ。そして、今回は二回目になる。

明日どこに泊まるとか、どこまで歩くとか、今日どこに泊まるとか、どこまで歩くとか、考えていないらしい。完全にノープランだ。

資本主義の社会システムの歯車としていることに、心底疲れ切ったらしい。

彼の言葉や、表情、空気、そして一瞬見える表情から、何かを感じる。どういったらいいかわからないけど、ものすごく強力なものだ。

そして、何故か僕は不安になった。

言っておくけど、彼はフレンドリーで優しい人柄だ。話のテンポも合わせてくれるし、笑顔も見せてくれる、ただ彼の中の何かに対して敏感になっている自分がいる。

自分を見失いそうだった。

自分の中の土台が揺らいでいる。何故そう感じるのかわからないけど、彼と別れたあと、崩れそうな自分を抱えながら宿まで歩いた。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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