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【テアラロア Day18】僕はジャパニーズ

もくじ

僕はジャパニーズ

昨日のハットにはフランスから来たティーボーを含めた、たくさんの国籍の人がいた。

ちなみにティーボーと会うのは二回目。とても器が大きくて、優しい人だ。

ちなみにティーボーはあまり英語が話せない。なのに、わずかな英単語だけでコミュニケーションをうまくとっている。コミュニケーション能力がずば抜けて高い。

でもまだ彼とあまり話せていなかったので、僕は彼に対してシャイになっていた。だから、頬と頬を合わせて「チュッ」と音を出すフランス式の挨拶のスタイルで、挨拶をすると、「おおぉ!」とティーボーが喜びながら、同じ挨拶を返してくれた。

そこから、それぞれの国の話になった。

フランスでは男女問わず、人との距離が近くて、誰に対してもこの挨拶をすると、ティーボーが言っていた。

そしてオランダ人のドネックは、オランダでは「女性×女性」と「女性×男性」の組み合わせでは挨拶としてハグや握手をするけど、「男性×男性」の場合は少し距離をとるということらしかった。

そしてドネックが「日本は男性でも女性でも誰でも、1メートルは距離をとる」といいながら、カチコチに固まったお辞儀をした。

もちろんいい意味で、ちゃかしてくれた。

そこでみんなもいい意味で笑ってくれた。みんな、どのスタイルがいいとかではなくて、それぞれの国の単なる違いとして、それぞれの国のスタイルを尊重してくれる。

いままで僕は無意識に「西洋の文化に馴染まないと」と必死な気持ちだったけど「あぁ、そうか、僕はジャパニーズスタイルでいていいんだな」と安心できた。

水ぶくれが化膿する

昨日は歩いていても水ぶくれが痛くて、変な歩き方になったせいか、アキレス腱に違和感があった。

そしてなんとなく昨日の夜、寝る前にアルコール消毒液をかけて寝ると、今朝大量の膿が出ていた。

「あっ、これはなにかの菌に感染したんだな。だからあんなに痛かったんだ」と気がつく。

今日歩けるだろうかと不安になる。

何人かにそのことを言うと、ベルが抗菌アルコールスプレーを分けてくれた。そしてティーボーが水ぶくれ用のクリームと絆創膏を分けてくれた。

ドネックに「水ぶくれはないか」聞くと、彼も化膿した水ぶくれがあるということだったけど、気に留めていなかった。

みんな何かしら足に問題を抱えているらしい。

「なるほど、そんなものなのか」と思った。いろんな助けを得て、今日も歩けそうだ。

サムと出会う

ハットを出ると、ハットの敷地内にテントを張っていた女性と出会った。

彼女の名前はサマンサ。ニュージーランド人だ。略してサムと呼んでいる。

サムと一通り話したあと、僕の出身地が日本だと聞くと「日本、大好きよ!」と伝えてくれて、日本語をいくつか話してくれた。

彼女はスキーが趣味で、北海道に五ヶ月間いたようだ。いつか日本に移住してみたいとも話していた。

しっとりと話す人で、いろんな人に等しく話しかける、とてもフレンドリーな人だ。

今回は、僕たちと同じように南から北まで最後まで歩き切るわけではなく、1月17日までしか休みがないので、南からスタートして、自由気ままに歩きたいところを歩くようだ。

途中で別れることになるけど、また新しい仲間ができた。

ハードな一日

今日も、僕は一番最後にハットをでた。要領が悪いので、荷物をまとめるのに時間がかかる。

そして今日も、きれいな山に囲まれた道を歩く。

でも、足元は沼地だった。

二日間乾いていた足が、また濡れた。

そして泥沼にハマり、また脚が泥だらけになった。

そして道中のハットで、みんなと一緒にお昼ご飯を食べたり、休んだりする。

ティーボーがビーフジャーキーを分けてくれて、サムがナッツとフルーツバーと飴を分けてくれた。

そして、ベリーがいちおしの「ミーゴレン」というラーメンとハイチュウを分けてくれる。

ちなみにベリーの好きなハイチュウの味は断トツでグリーンアップルらしく、僕と同じだった。

また歩く。

歩きながらサムと話す。

サムはニュージーランドの「ワナカ」出身だ。

ワナカにはきれいな川が流れていることと、日本人が経営している日本料理屋さんがあるから、「本物の味かどうか」是非試してと、教えてくれた。

そして今日の目的地の「駐車場」に辿り着いた。

ここから次の街クイーンズタウンに行くまでは路肩が狭く歩くのが危険な区間があるせいか、バスかヒッチハイクでスキップすることが公式に認められている。

でもバスを予約しようにも、ここまで3日間ずっと電波がなかったので予約ができなかったし、駐車場についても電波はないままだった。そしてヒッチハイクをしようにも、ほとんど車が通らない道だった。

だけど、ベリーが特殊な通信機器をもっていて、バス会社に連絡をとることができた。そして明日の朝10:30に迎えに来られるということだった。

この駐車場にテントを張って、明日まで待つことも考えられたけど、同じ場所にとどまることが嫌なハイカーたちと、10km先にあるキャンプ場まで歩き始める。

そして到着した。

キャンプ場の横にはレストランがある。そこでベリーがみんなの分のビールとコーラを買ってくれた。

(ベリーが支払う金額をこっそり見たら、缶ビール5本と缶のコーラ2本で7000円だった)

そしてみんなで乾杯する。ほのかな酔いがまわって、一日の疲れが静まる瞬間だった。

そしてサムが買ったポテトチップスとお菓子をみんなで食べる。

あぁ、落ち着く。

でも、湖のそばにあるレストランの野外で食べていたので、身体が冷える。

寒い。

そのあとは、隣のキャンプ場まで移動しテントを張る。

昼間に歩いているときは水ぶくれの痛みはあんまり感じないのに、レストランで気が抜けたせいか、足を前に10センチしか出せなくなるほど痛みを感じはじめた。

疲れて冷えた身体でテントを張り、中に入る。

NZ初日のホテルからもらってきたお茶

あたたかくて、落ち着いた。

明日は一日オフの日だ、気がつけば、ここまで300km歩くことができた。身体と足をゆっくり休めよう。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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