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【登山エッセイ】周回ルート下山後の舗装路歩きは映画のエンドロール

舗装路歩き、好きですか?

YAMAPなどの登山日記を見ていると「地獄の舗装路歩き」などと書かれ、嫌われている印象がありますが、僕は大好きです。そのよさを語っていきます。

下山後の舗装路歩き。確かに、山の歩きのような面白さはないし、地面も硬くて登山靴では歩きづらいですよね。ですが、実は魅力たっぷりなのです。

もくじ

心のクールダウン

ハードな山歩きのあと、舗装路をのんびり歩くのは身体のクールダウンになりますよね。ですが、下山後の舗装路歩きで得られる最大のごほうびは、心のクールダウンだと思います。

その長い舗装路に、登山で味わった感情の一滴一滴を落としながら、歩きます。

登山中の怖さや緊張感、ハラハラドキドキを終えて、安全な舗装路を歩くことの安心感。その安心感に身をゆだねたときに湧きでる、達成感。きょうも無事でいられて良かったという、安堵感。その気持ち良さ…。

Tシャツにたっぷり染み込んだ汗の臭いを嗅いだときの、自分に愛着がわくような妙な嬉しさ。

身体は疲れ果てていて、太陽の日差しが強く、あまり前を向いて歩けないけど、そんな自分を客観視すると、なぜか「フッ」と笑みがこぼれるような満足感。生きている感じ。

全身から湧き上がる充実感。

心に焼き付ける

安全な舗装路だからこそ、足元に気を配らず、思う存分こころの中に入り込めます。

こころの中で今日一日の感情を丁寧に辿っていく。気持ちの整理をしながら、今日一日をこころに焼き付ける。そうすると、いつでも引き出せる「記憶に残る一日」になります。

人生のなかで、思い出せることがどれだけあるでしょうか?

こころに焼き付けた一日は簡単に思い出せます。

その時の気持ち、暑さや寒さ、汗の臭い、風の匂い、風景、かっこいい地名の看板、蝉の声、すれ違った車の色を手掛かりに、その日の舗装路歩きの記憶や、それにつながった山歩きの記憶を鮮明に思い出せます。

思い出すと嬉しくなる記憶は、それだけで人生を豊かにしてくれるものだと思います。

映画のエンドロール

例えるなら、映画です。

ホラー映画で極限までドキドキして、最後に救われたときの「全身からじわーっと放出される解放感」です。サバイバル映画でドキドキハラハラして、最後に助かったときの「あの安堵感からくる快感」です。

エンドロールで流れる名前を見ているようで見ていないときの、あの放心状態の中でジワーっと実感が湧いてくるときのような、光です。

舗装路、歩きたくなりましたか?

その時の登山道が長く険しいものであればあるほど、対照的に、舗装路歩きの充実度もあがってくると思います。

登山道で興奮し、舗装路で快感を得る。この一連の流れがとても贅沢で、いいものだなとつくづく思います。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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