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【高縄半島】日帰り登山30kmに挑戦

一月一日。

早朝、まだ暗い時間に原付を走らせます。

正月なので道路はガラガラ。狙い通りです。原付で登山している人、正月は一年で一度しかない大チャンスですよ。

もくじ

30kmチャレンジ

0km地点

時刻は7:19。

ここからチャレンジが始まります。
今回、選んだルートは、高縄山系を大きく一回りする周回ルートです。

高縄山系 30kmチャレンジ / りゅーやんさんの高縄山伊之子山明神ヶ森の活動データ | YAMAP / ヤマップ

「右回りか左回りか」悩みましたが、序盤に難所を迎えたかったので、左回りにしました。このルートは急登から始まります。
望むところでした。

3km地点

お寺に着きました。
お寺の脇にあるボロボロの建物の横でバナナを食べて休憩していると、その建物の中から物音が聞こえました。そして、「グルルルルルル…」と獣の唸り声も聞こえます。急いでバナナを食べて先に進みます。

おそらく、犬かウリ坊だと思いますが、動揺しました。

そして、進んだ先にまた別のお堂がありました。

あれ…

「こんなもの、ここにあったっけ」
なかったような気がする…。化かされてる?それとも変な道に入った?いやいや、まだ50mも進んでいないぞ。新しく建てられた?いやいや、見た目は古いぞ。

まぁ、僕の勘違いでしょうが、動物に威嚇されたせいで頭がちょっと混乱していました。なので、笑いました。「ははははは!」

こんな時は笑うに限る。

ということで、進みます。

この中から聞こえてきた。

5km地点

一番奥に見えている山の右端まで行き、そこから左端まで歩き、そして今いるところに戻ってくる一周。

しばらく歩き、景色が見える場所に出ました。

これから歩く山が遠くに見えます。ものすごいスケールです。
「これを歩くのか…!」
こんなに歩ける想像がつきませんが、とりあえず視線をまた登山道に移し、歩きます。

30km…
まったく未知の領域です。
途中でエスケープルートを設定していたので、もし歩けなかったとしても大丈夫でしたが、やはり不安な気持ちになります。だけど、やるからには達成したい…。
「自分にできるのか、できないのか」
可能性の境目さかいめで精神的にバランスを取りながら進む。興奮します。エネルギーが湧きました。

ただ、エネルギーだけではなく、常に頭で計算もしていました。
このルートのおおよそ中間地点である「水が峠」に12時くらいまでに着こう。遅くても13時だ。それができれば、このチャレンジは達成できると踏んでいました。

7km地点

標高1216m「明神ヶ森」の山頂付近まで歩くと、木の葉っぱが凍っていました。
風も冷たいです。この先が、このルートでの一番の難所となるので、その前に腹ごしらえです。温かいラーメンで気持ちを落ち着けます。

そして、食べ終わり、難所にむかって歩きます。

ちょうどこの難所を歩いているときに、風が強くなり、太陽も雲で隠れました。空気も冷たくなり、さらに小さな雪が顔に吹き付けます。足場が悪い、寒くて灰色の世界に、不安な気持ちになります。すごく怖い雰囲気で、心細くなりました。

そして、二回コケました。
最近、登山靴のソールが大分減ってきていたので「買い替えないとなぁ」と思っていたのですが、「でも登山靴は高いし、もう少しこれで頑張ってみようかなぁ」と思い、買い渋っていました。ですが、この挑戦が終わったら買いに行こうと即決しました。

9km地点

そして、難所を切り抜け「白潰しらつえ」に到着!

ここからは歩きやすい道が続くので気を抜けます。
そして、示し合わせたかのように青空が出てきて、気温も上がっていきました。ほんわかした気分になりました。

12km地点

水が峠みずがとうげ」に12:33に着きました。

「これは、いける!」と思いました。残りの道は歩きやすい道ばかりだ。とりあえず、ここでいったん休憩しよう。ベンチに座り、手作りおにぎりを食べました。

そして、また進みます。

14km地点

眠たくなってきました。

前半とはうって変わって、暖かい。太陽の日射しで、空気がポカポカしている。ほんわかした眠気もあいまって、とても気持ち良かったです。

15km地点

なんだか急に疲れてきました。

水が峠地点では、体力がまだまだあり余っていたので「これは、楽勝なのではないか」なんて思っていたのですが、やはり、それなりに身体は疲れていたようです。
そして、お腹もすいてきました。次のピーク「北三方ヶ森きたさんぽうがもり」でご飯を食べよう。それまでは、頑張って歩こう。そう思いました。

16km地点

北三方ヶ森きたさんぽうがもり」到着です!

ここはテーブルとベンチがあるので、早速座ります。

あぁ、気持ちいい

あぁ。

気持ちいい…

ベンチに座って休むのって、こんなに気持ちがいいのか。
気持ち良くてウトウトしながら、ラーメンを作りました。そして、ラーメンとおにぎり、バナナを食べると元気が湧いてきました。疲れや眠気が吹き飛びました。

そして、「北条ほうじょう」の海や街が見えます。
「あぁ、今日もあの素晴らしい日常に帰りたいなぁ!」「帰って、映画でも観ながら美味しいものを食べたいなぁ!」と気分がシャキッとしてきます。
あの素晴らしき日常へ…。あぁ、日常…

日常が究極の幸せだと思いました。

18km地点

長く暗い森から一瞬抜けます。
光があふれる世界へ…。

うわぁ、久しぶりの景色。

一番奥に見える山の右端から左端まで歩き、そこからこの地点まで歩き、そしてこれから右端の山まで歩く。

そして今まで歩いてきた道を見て、驚きました。
こんなに歩いたのか…。僕って、こんなに歩けるのか。とても、信じられませんでした。

一年半前に登山を始めたころは、この10分の1しか歩けませんでした。それでも、毎週山に登っていたら、こんなに歩けるようになっていました。僕はもっともっと歩けるようになりたいので、振り返るにはまだまだ早すぎますが、それでも「こんなに遠くまで来ていたんだな」とちょっと感動しました。

あまり遠くを見続けずに、目の前の一歩一歩に集中すること。そしてそれを淡々と続けること」の大切さが体感的に理解できた瞬間でした。これは登山に限らず、他の全てのことでも、そうですよね。

僕は登山以外のことで、先を見すぎて心が折れて続かなくなることがあるので、そのたびにこの日のことを思い出すようにしようと思いました。

さて、進みます。

21km地点

この近くに「高縄山たかなわさん」という山があります。

少し寄り道になるし、人気の山なので人とすれ違うのが少し怖いのですが、総歩行距離が29.9kmで終わったら「ものすごく後悔する」と思い、行ってきました。

山頂の景色です。

二組とすれ違いました。

僕は、狭い田舎道ですれ違う時に、挨拶をせずにすれ違うことにとても違和感を感じてしまいます。でも、挨拶をして返事が返ってこなかったら傷つきます。なので、今回は挨拶をするのを我慢しようと思ったのですが、我慢できずについしてしまいました。

二組とも、返してくれました。

ものすごく長い望遠レンズをつけたカメラを持っている人が、遠くの鳥を撮影していました。いろんな趣味の人がいるんだなぁと思いました。

世の中には、自分が思うよりも遥かにたくさん、個性的な人がいるのかもしれないなぁと思いました。例えば、僕が変な行動や言動をしてしまっても、実はそこまで気にしなくていいことなのかもしれないなぁと思いました。

23km地点

そして、この次の山を登れば、山は全て終わります。残りは舗装路を歩くだけです。

最後のセクション。

時刻は16:10。

陽はだいぶ傾いています。タイムリミットを感じながら最後のセクションに突入します。陽が暮れるまでに、この山を下りなければなりません。

荷物を取り出すためにザックを地面に置きました。そして、なんとなく僕も地面に寝っ転がりました。

気持ちいい…。

めちゃくちゃ気持ち良くて、目を閉じたら眠ってしまいそうです。
あぁ、少しここで寝たいなぁと思いながらも、時間がないので起き上がります。

気持ちよかったぁ。

そして、最後のピーク「大月山おおつきやま」に到着!

大月山からの下山ルートは、道が荒れていて、なかなか歩きづらかったです。
ですが、途中でパワーショベルが通るような作業道に出ました。「今日は正月で従業員は休みだろうし、この道を使わせてもらおう!」と快適な作業道を歩きます。

25km地点

そして…

舗装路に出ました!
これで、山道は終わりです。

「やったぞ…」

これで、もうチャレンジを達成したも同然だ…。

山道は25kmで残りは舗装路なので、30kmチャレンジと呼んでもいいのだろうかと、ふと思いましたが、そんなものは関係ありません。

33km地点

真っ暗な「日浦ひうら地区」を歩いていました。

僕のかすかな足音に反応したのか、一匹のワンちゃんが僕に向かって吠え始めました。
それにつられて他の家のワンちゃんもみんな吠え始めました。日浦地区の全ワンちゃんが吠えていたと思います。ものすごいボリュームでした。

ワンワンワンワンワンワン…。

ワンワンシャワーを浴びて、スタート地点に辿り着きました。つまり…ゴールです。

あぁ、達成した…

家に着いて

眠気と疲れで身体がほんわかしていました。

チャレンジを達成した。その真価しんかを翌日以降、実感することでしょう。例え実感できなかったとしても、僕は知っています。

チャレンジが、目には見えない次への扉を開いてくれることを。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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