【テアラロア Day57】テアラロアを歩く理由

もくじ

一人に慣れてきた

朝5:30に目が覚めて、それ以降は眠れなかった。

テントでは爆睡できるんだけど、やっぱり知らない人たちの中で眠るドミトリーでは、あまりリラックスできない。

静かに起き上がり、別室で静かに荷造りをはじめた。そして朝7:00、朝食も食べずに宿をあとにした。

朝の清々しい空気の中を歩くと、知らない人だらけのドミトリーでの窮屈な気持ちから、一気に解放される。

今日も一人でひたすら歩く。

歩いて、歩いて、歩いてを繰り返す。

途中ですれ違う人たちとも、あまり構えずに気軽に挨拶と会話ができるようになった。

旅の序盤はいちいち緊張しながら、相手に100%の意識を向けて、つたない英語で話そうと必死だった。

いまは、相手の言ったことがわからなくても、いちいち聞き返さない。どんなリアクションをすれば正解なのかが、雰囲気でなんとなくわかる。

そして、ただ地面を見つめながら集中して歩く。

ふと、気が付いた。

一人で歩くことに完全に慣れていることに。

テアラロアを再開してから、毎日同じ方角に歩く人を探していたけど、いまはもう、むしろ、一人で歩きたい。友達探しは必要なくなった。

そして、上がるわけでも下がるわけでもなく、常に一定の気持ちで歩いていた。

テアラロアを歩く理由

なぜ、このテアラロアを歩こうと思ったのかというと、一つ目に、海外で大きなチャレンジをしてみたかったからというのがある。

そして二つ目の理由は、強い自分になりたかったからだ。

日本で外国人パートナーと生活をしていると、たまに周囲から否定的な反応を感じるときがある。

そして繊細な心を持つ僕は、過剰に反応して、感情のコントロールが難しくなる。そんなとき、いつも外国人として大変な立場に立つパートナーのほうが僕を支えてくれている。

だから強くなることで、せめて自分のことは自分で支えられるようになりたいし、海外に馴染むことで、日本でしか生活をしてこなかったいままでの世界から一歩抜け出して、嫌なことが起こっても、俯瞰してそれを見られるような大きな人間になりたいと思ったからテアラロアを歩いている。

そして三つ目は、自分に合った仕事を見つけたかったからだ。

僕は19歳のときに、躁うつ病にかかり、大学を中退した。それから8年かけて、病気を寛解状態まで持っていった。

なので僕にはスキルも、キャリアも学歴もない。社会経験も乏しい。テアラロアを歩いていたら、何かが見つかるんじゃないかと密かに期待していた。

自分は変わったのか

テアラロアの2日目、初めてのドミトリーで出会ったオーストリア人チョーチとのやりとりを思い出していた。

彼はスペインのロングトレイルを歩いたことがあるらしく、「このテアラロアを歩ききれば、絶対に何かが変わるよ」と僕に教えてくれた。

「少なくとも、君が持つ恐れは減ると思うよ」とも言っていた。

そしてテアラロア3日目に出会ったドイツ人も「こんなに長距離を歩いたら、絶対に自分の中で何かが起こる」と僕に言った。

彼は、今回が二度目のテアラロアで、一度目にこのトレイルを歩いたあと、彼の中で何かが変わり、ホームレスとして生きていくことを決めたらしい。

「それが、どんな形になるかは人それぞれだけど、絶対何かを感じるはず」だと言っていた。

そして今のところ、僕がこのテアラロアを歩くことで「何が変わったのか」「僕は強くなったのか」「何を感じたのか」は、まだなにも分からない。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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