【テアラロア Day35】夜まで歩いた青春の一日

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スタック・サドル

今日は、テアラロア上にある最高標高1925mの「スタック・サドル」を通る日だ。

朝起きると、それぞれ支度が早い順に出発した。僕とルルーが最後方からのスタートだ。

途中でルルーのお父さんを捕まえて、山頂で休憩していたサムとマヌーを捕まえた。ルルーは後方に下がり、僕はそのままスタックサドルへ向かう。

なんでこんなに急いでいるかというと、テカポの街にいるときにベリーからメッセージが届いたからだ。

実はこの山脈を降りたあとに、めちゃくちゃ大きい川がある。渡る人もいるみたいだけど、危険なので迂回することが推奨されている。

この川をぐるーっと130kmほどヒッチハイクで迂回しないといけない。

でも、ただでさえヒッチハイクは気をつかうのに、130kmもとなると、かなりの人に乗せてもらわないといけない。

そこで一つ選択肢がある。

シャトルバスを予約することだ。一人で乗ると四万円かかるけど、人が増えるごとに料金が半分になっていくシステムだ。

ベリーからのメッセージには「ルーカス&キムと合流して、この山脈を降りたらシャトルバスに乗るから、できればりゅうやも一緒に乗れたらいいな」とあった。

ベリーたちは僕の一日先を歩いている。だから、そのベリーたちに追いつくために、急いでいた。

そしてテアラロア最高標高のスタック・サドルが見えた。険しい坂道を登る。

ヘロヘロになりながら登り、山頂に立った。

山頂には何人か人がいたので「ここが、スタック・サドルですよね?」と何気なく聞くと「違うよ。スタックサドルはあっちだよ」と言われた。

地図を見てみると、2070mのビューゼンバーグ・ピークという山に登っていたことがわかった。

引き返すしかないので、引き返す。

そして、スタックサドルに向かっていると、サムが追いついてきた。どうやらサムも僕と同じで、ベリーたちのシャトルバスに乗りたいみたいだ。

そして、二人で黙々と進んだ。

スタック・サドル登頂!
サム!

ケイロブ再登場

最初のハットにつくと、中にはケイロブがいた!

どうやら、ロード歩きの区間は自転車を使ったらしい。サムとケイロブは初対面なので、中でいろいろ話す。

ケイロブは、天気がよければ、もともと一緒に来ていた「ローズ」という女性と川を一緒に渡る計画だったけど、脚を痛めてしまったので、歩くペースが落ちて離れ離れになってしまった。

なので、僕とサム、そしてケイロブの三人でなんとしてもベリーたちに追いつこうという話になり一緒に歩くことになった。

長い一日

アメリカ人のケイロブ、ニュージーランド人のサム、そして日本人の僕で、それぞれの国の話をしながら歩く。

ここまででも結構な距離を歩いていたけど、ベリーたちに追いつくにはまだまだ歩かないといけない。

いつもだったらテントを張る時間でも、三人でひたすら歩き続けた。

日が低くなって、三人とも山の影に入り、身体が冷える。風も冷たくなってきた。

そして、小さな川を渡渉していると、ケイロブが川の底から何かを取り上げた。

「GoPro13」だ!

このあと持ち主を見つけて、GoProを返した

GoProが川の底に沈んでいた。「そんなことがあるんだ!」とみんなで笑いながら、また歩く。

時刻は21時。

こんなこと、人生でめったに経験できない。三人で、疲れながらも歩き続ける。瞬間瞬間が幸せだった。

サムも「自分にチャレンジするのって、すごく楽しい!」と前向きだ。ケイロブもアメリカのアパラチアントレイルという4000kmのロングトレイルを歩いた経験者だ。

そしてヘロヘロになりながら、サムとケイロブが食べ物の話をし始めた。

いろんな料理名が飛び交い、僕はそのたびに、そのイメージがはっきりと思い浮かぶ。

ケイロブが「アメリカに帰ったら、最初に行きたいレストランがある」と宣言し始めた。「そこのメニューはチキンの足とポテトしかメニューがなくて、独特な味のソースがついてくる。そのレストランの味が大好きなんだ」といっていて、「いいなぁ!!」と強烈に思い「ナイス!!」と伝えた。

みんな疲れてはいるけど、気分は前向きだ。

僕はみんなと喋ろうとするけど、英単語が思い浮かばなくなって、それが可笑しかった。

そして21:45。

「ここでテントを張ろう」ということになって、川のそばにテントを張る。

きれいなフラットの地面がない場所だから、みんな、なるべくマシなところを歩いて探す。

完璧なフラットの地面がなくても、疲れた身体を横たえられる、そこそこの地面があって幸せだった。

明日はシャトルバスが朝の10時に来る。ここからバス乗り場まで13kmある。みんな5時に起きて、6時には出発しようということになった。

そして、長い一日を終えた。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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