【求職日記 ♯5】文字起こしは難しい、高級ヘッドホンで新たな世界を聞きたい

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前回、文字起こしの仕事を見つけた。

長い時間をかけたトライアルを提出し、結果を待っている状態だ。

ただ、待っているのでは、時間がもったいないので、他に完全在宅で僕にもできる仕事はないか探していると「オーディオブックの音声校正」という仕事を見つけた。

オーディオブックのための台本を、本から作ったり、できあがったオーディオブックの音声をチェックする仕事だ。

本と台本は同じではない。

「前のページで述べたように…」という本ならではの表現があれば、「先程述べたように…」とオーディオブックのスタイルに合った表現に変える。

できあがった音声についても、読み間違えがないか探すのはもちろん、「ここのペースが少し速い」とか「ここのトーンが文脈に合わない」とか、そんな修正を加えていく仕事らしい。

面白そうだと思って、早速応募した。

するとすぐに返信が返ってきて、「履歴書」と「質問票」などの提出を求められた。

僕は紙の履歴書しかつくったことがなかったので、ネットで調べて、Web履歴書というものを時間をかけてつくりあげた。前に10年以上働いていたヘルパーの会社では、履歴書の提出を求められなかったので、さかのぼると、15年ぶりに履歴書を書いたということになる。

学歴と職歴の欄がスカスカでさみしい。

なにかで埋めたいけど、探しても、埋められるものはない。

履歴書のなかで、自己PRとして「昔、劇団に所属していた」ことと「文章が大好き」だということをアピールし、僕のブログのURLを貼った。それ以外は、アピールできることがなかったので、それだけだった。

多分、落ちるだろうと期待せずに待っていたら、文字起こしのほうのトライアルの結果が返ってきた。

合否は50:50じゃないかと思っていたので、どきどきしながら文面をスクロールすると、「残念ながら…」という枕詞があらわれた。

「あぁ、そうだよね。でも、また応募すればいいや」と画面を閉じた。

そのあと、ただオーディオブックの結果を待つわけにはいかないので、また文字起こしの仕事を見つけて、応募した。

そして、「なぜ前回のトライアルで落ちたのか」その理由を探すために、ネットを検索していた。

すると、文字起こしには「PC」と「モニターヘッドホン」の二つが必須だということがわかった。

前回のトライアルで、僕は飛行機でタダでもらった有線のイヤホンを使っていた。家のなかを探しても、いいイヤホンが見つからなかったし、「イヤホン一つでそんなに変わらないだろう」と思っていたからだ。

だけど、文字起こしをする人のブログを見漁っていると、みんなヘッドホンが大事だといっている。どうやら、使うのと使わないのでは、全然違うようだ。

そして、音楽用のヘッドホンと、文字起こし用のヘッドホンの違いについても書かれていた。

音楽用のものは「重低音を強調する」とか「高音を強調する」とかあるらしく、それは文字起こしでは役に立たないらしい。どの音も等しく、フラットに拾い上げてくれる「モニターヘッドホン」というものを使うのがいいということだった。

そして、文字起こしをしている人たちのなかで、ダントツで人気の高い商品があった。

これだ。

19,000円の商品だ。

文字起こしをするために、新聞記者が使う「ハンドブック」と31,000円の「Microsoft office 2024」をすでに買っている。ここで、中途半端なヘッドフォンを買ったら、これらを買った意味がなくなる。

「買うしかない」と答えは決まっていたけど、PCの画面の前で30分悩んだ。そして購入した。

まだ、働いてもないのに、お金がどんどん出ていく。でも、結果を出すには「こういう思い切りが大切なんだ」と、なにか崇高なビジネスマンのような気持ちになりきって、不安な気持ちを乗り切った。

そして文字起こしの会社から、返信が来た。前回の会社と同じように、トライアルセットも送られてきた。

文字起こしに入る前に、注意事項をしっかりと読む。

一回、経験している分、ゆとりがあった。

まだ、19,000円のヘッドホンは届いていないけど、PCのスピーカーで「とりあえずわかるところだけ文字に起こしておこう」と作業をはじめた。

前回と同じで、二種類の音声データが送られている。

最初のデータはなんと「同性婚」に関する講演会の音声だった。「これは僕の管轄内じゃないか!」と思い、スラスラと文字に起こしてゆく。荒削りな状態だけど、「19,000円」のヘッドホンが届いたら正確に書き直そうと、一旦放置することにした。

そして2つ目の音声に、面食らった。

まず、音の状態が悪くて、音が聞き取りづらい。

そして、「脳神経」のことに関する、大学の講義のような内容だった。専門用語がバンバン出てくる上に、それらも音声データの質が悪くて、なんて言っているのか本当にわからない。

かろうじて聞き取れた「錐体交叉(すいたいこうさ)」という訳のわからない言葉をネットで調べて、そこから知識を少しづつ広げるようにネットの記事を読み、また音声に戻ったけど、わからない!

何度も粘り、検索し、チャットGPTにも聞き、ほんの少し聞き取れるようになったけど、僕のWordの原稿は、のり多めの「のり弁」状態だ。

一旦、PCを閉じることにした。

そして、19,000円のヘッドホンの到着を待つことにした。

ヘッドホンを付ければ、魔法の世界が広がるかもしれない。聞き取れなかった言葉がみんな、僕の耳元で平等に広がる、優しい世界が僕を待っているかもしれない。

魔法の世界を聞きたい。

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著者

栃木県在住の35歳。

34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越し、ヘルパーの仕事をやめて無職になる。躁うつ病(完解済み)・同性愛・発達障害グレーゾーン当事者。趣味は登山で、ニュージーランド1300kmの歩き旅を終えたばかり。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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