【テアラロア Day73】クイーン・シャーロット・トラック

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スロー・スタート

いつもは遅くても10時には出発をしていたけど、リッチモンド山脈が終わり、歩きやすいトレイルしか残っていない僕たちは気が抜けていたので、12時までのんびりしていた。

エミリーは、海を見つめながら座っていた。彼女の元には、日記帳と線香のようなものが炊かれている。

彼女と話をしていると、「マウンテンは日本語でなんていうの?」と聞かれたので「山だよ」と答えた。

そして、彼女が日記帳の最終ページを開いて、「日本語で、りゅうやが大切にしている、勇気づけられる言葉を書いて欲しい」とお願いされた。

しばらく海を見つめながら考えて、こう書いた。

「記憶は、失われることのない宝物」

この歩き旅の中で、何度も何度も、過去の記憶に勇気づけられた。これしかないと思った。

ラグジュアリー・アイテム

ちなみに、ロングトレイルでは軽量化が大事なので「持っていっているものが本当に必要なものなのか」何度も考えて、不要なものを削る。

だけど、ラグジュアリー・アイテムといって、「なくてもロングトレイルはできるけど、荷物が重くなっても持っていきたいもの」を持っていく人もいる。

僕は一眼レフカメラを持ってきた。スケッチブックを持ってきている人もいた。ロードオブザリングの本を4冊も持ってきている、破天荒な人もいたし、ギターを背負っている人もいた。

エミリーはネイルカラーや香水などを持ってきていた。足の爪を見たときに、汚れているのを見ると、気分が下がるからだ。

ちなみにローズもネイルカラーを持ってきていて、ケイロブをはじめ、いろんな人が爪に色を塗っていた。テアラロアの世界の中の、僕たちグループのちょっとした流行になっていた。

なので、エミリーが「りゅうやもやってみる?」と勧めてくれた。せっかくなので、彼女に塗ってもらった。

色はテアラロアカラーの、オレンジだ。

ちなみにエイミーに「ニュージーランドでは、男性がネイルカラーをつけるのは普通なの?」と聞いてみると、「一般的ではないけど、そういう人も増えてきているよ」と返ってきた。

クイーン・シャーロット・トラック

そのあと、やっとトラックを歩き始めた。

歩きやすい道を歩いていると、ところどころ景色が開けて、海が見える。

僕の故郷の瀬戸内海のような、穏やかな海だった。

両脇の木々からは、セミの鳴き声がたくさん聞こえる。

まるで日本の、いつかの夏を歩いているような気分になった。

カワカワの葉

エイミーは大学を卒業したばかりだ。大学では、「天然の薬」について勉強していた。なので植物にも詳しい。

そして彼女が、「カワカワ」の葉っぱを見つけた。この葉でお茶をつくれるらしい。

身体を癒してくれる効果があるそうで、葉っぱを身体に張れば傷も癒えるらしく、マオリの人がよく使うらしい。

エミリーがいうには、虫が食べたあとがある、穴が空いた葉っぱを摘むといいらしい。虫は癒しの効果が高い葉を、選んで食べるからだ。

今日のキャンプ場につくと、早速、カワカワのお茶をつくってみた。

煮ていると、いい香りが漂ってくる。飲んでみると、ヨモギのような味がして、美味しい。

もう一杯、おかわりした。

今日はスロースタートだったので、あまり進めなかった。明日は二人とも早起きをして、たくさん歩く予定だ。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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