【テアラロア Day66】山道インタビュー

もくじ

久しぶりの再会!

朝、ハットのトイレに向かう。

ちょうど中から出てきたエイミーと「今日はどこまで行くのか」お互いに確認し合った。

このリッチモンド山脈で、こんなふうに仲間とお互いに情報交換をし合えるのは、心強い。

この山脈に入ってから、いつも少し緊張しているけど、同じ方向に歩く仲間のおかげで、気が楽になる。

そしてテントを片付けて、荷造りが終わり、振り返ったときだった。

「Good morning!」と、僕に手をあげている人がいる。

ケイロブだ!!!

僕がクライストチャーチのキャンプ場から、アーサーズパスへシャトルバスで向かったその日に、ケイロブもヒッチハイクで僕の3日後ろの地点に向かっていた。

そのケイロブが、もう追いついてきたようだ。

嬉しさと、ホッとした気持ちから「ハイ、ケイロブ!」とハグをした。

そしてケイロブの友人ローズとも、挨拶をかわす。

ケイロブがいうには、僕がハットのトレイルノートのコメント欄に「新しい友達ができますように…」とか「一人で歩くのは精神的にきつい」とか、悲しいコメントを書きまくっていたのを見て、「早く追いつかないと」と追いついてきてくれたそうだ。

そして、そのあとハットの前のベンチに行くと、反対方向のハイカーが二人いた。

タイ人と「ジーナ」とオランダ人の「サーシャ」のカップルだ。二人とも今はタイのチェンマイに住んでいるらしい。

二人とも優しく話しかけてくれたけど、特にジーナが笑顔でたくさん話しかけてくれた。

彼女は自転車でニュージーランドを旅したことや、ヨーロッパを6ヶ月かけて走ったことがあるらしく、そこで今のパートナーと出会ったようだった。

その旅のおかけで、「自分ならなんでもできる!」と自分に自信がついたのと、ヴィーガンのパンをつくりたいという自分の夢に気付き、チェンマイにカフェをひらいたことも教えてくれた。

そして…

「自分はどうなんだろう」と思い、僕は「自信がついたのか、やりたいことが見えたのか」まだ、よくわからないことを伝えた。

山道インタビュー

ハットを出発する。

ジーナ&サーシャと話している間に、もうみんなは出発していた。

最後方から一人で歩く。

歩いていると、セントアーナードの手前で知り合ったチェコ人のリアータと再会した。お互いに声をかけ合ったあと、僕が先に歩いた。

そして、今度はエマ&キアラとパブロに出会った。

ここで三人に質問をしてみた。

「このロングトレイルで、自分は成長したと感じる?もしくは何かが見つかった?」と。

キアラが「うーん、深い質問だね…」といったあと、「そのことはエマと話していたけど、この旅が終わって日常生活に戻ってから、変化に気付くんじゃないかな」と答えてくれた。

そしてパブロにも聞いたけど、パブロの英語があまり聞き取れなかったのに、わかったフリをしてしまったので、パブロの答えはわからなかった。

そしてまた、歩く。

今度は、ジェームズとエミリーに出会ったので同じ質問をする。

ジェームズは「今を感じるということじゃないかな。まわりを見てよ、こんなに愛おしい自然に囲まれて過ごす時間は、なにものにも変えがたいよ」

「将来のことはわからない。でも僕は自分の人生を信頼している」

と、答えた。

エミリーも「ジェームズと同じかな。テアラロアを歩いたということよりも、歩こうと決めた自分や、そのプロセスを大事にしたいかな」

と、答えてくれた。

「貴重なメッセージをありがとう!」と伝え、また先に進む。

今度はケイロブとローズに出会ったので、質問をしてみた。

ケイロブは「ロングトレイルをすることで間違いなく、変化は起きたよ。最初にアパラチアントレイルを歩いたときは、今よりも大きな変化が自分に起こった。初めてのことだったからね」

「だけど、トレイルを歩き終わったあと、とくに何もせずに過ごしてしまったんだ。だから、歩く前とまた変わらない生活に戻ってしまった」

「でも、もしトレイルを歩いていなかったら、もっと酷い生活になっていたと思う」

「今回のテアラロアも、前回のアパラチアントレイルも大きく人生をリフレッシュしてくれる機会だから、そのあとにどう行動するかが大事じゃないかな」

「だから、今回はトレイルが終わったら、絶対になにか行動を始める。ただ、それが何かはまだわかってないんだよね。だから、歩きながら考えてるよ」

と、答えてくれた。

ローズは「トレイルを歩くことで、それはもう、大きく変わったよ」

「最初のパシフィッククレストトレイルでは、日常生活の些細な幸せに気付けたし、二回目のアパラチアントレイルでは、自分に大きく自信がついた。」

「テアラロアは三回目のロングトレイルだから、前の二つほどじゃない。ロングトレイルから得られるものは、ほぼすべて得られたから、このテアラロアが終わったら、ロングトレイルはもうやめるよ」

と、返ってきた。

僕にはケイロブの答えが、一番しっくりきた。

水場のない27km

今日も長いのぼり坂を歩いた。

そして「ターンハット」というハットに到着した。ここから27kmの間、水場が存在しない。なので、ここから、みんな運べる分だけたくさんの水を背負う。

僕は4.5Lの水をザックにいれた。

27kmの間にあるハットには雨水タンクがあるので、おそらくその中に水があるだろうけど、なかったときのことを考えて多めに運ぶ。

そして水を1リットル飲み、身体を水分だらけにした。

そのあとは重たいザックを背負いながら、アップダウンを繰り返す。

綺麗な景色が続く。

途中、山頂でローズと30分ほど横になっていた。

気持ちのいい天気だった。

起き上がり、また歩く。

みんなは次のハットまで歩いたけれど、僕は森の中にテントを張って、のんびり休んだ。

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著者

栃木県在住の34歳。
34年間住んでいた愛媛県から、栃木県に引っ越したばかり。仕事もやめて、無職になる。同性愛者・躁うつ病患者(現在は寛解している)。趣味は登山。フィリピン人のパートナーと生活しながら、社会の壁を乗り越え、楽しい日々を送るため、人生をサバイバルしている。

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