はじめに
僕は34歳、相手は30歳のフィリピン人で、ゲイカップルです。
付き合って6年目に入ったところで、楽しいことも悩むことも、たくさん経験してきました。
「メリット」という言い方はあまり好きではないですが、日本人同士では「味わえなかっただろうな」と思うようないい経験もたくさんあります。
その「よかったこと」を紹介していきます。
偏見や苦しみの中で生きる毎日は、どう見ても輝いている
いきなり、この話題から始めます。
国際恋愛ということは、自分か相手のどちらかが「外国人」ということになりますよね。
「外国人」に限らず、「身体・知的・精神障害者」や「LGBTQ」など、社会の中では生きづらい人たちがいます。
相手が、もしくは自分が「外国人」というだけで、不当な扱いを受けたり、偏見に出くわしたり、怖い表情でこちらを見られたりすることもあると思います。
そういうことをしてくる人は一定数いるし、自分の力ではどうすることもできません。
だから、その中で一日一日、悩みながらも真剣に生きてゆくその生き様は、どう考えても誇れるものです。
惰性で生きていくのとは違い、毎日を「いい意味で」深刻に生きてゆくことの輝きを感じられる、生き方だと思います。
異なるバックグラウンドを持つ人との交流は楽しさと解放感を与えてくれる
国際恋愛といえば、これです。
僕のパートナーはフィリピン人で同じアジア出身なので、そこまで劇的な違いは感じませんが、それでも日本人と接しているときとは全く違います。
アジア人同士で感覚は似ていても、育った環境や通っていた学校のこと、自国の料理や文化など、違いが尽きることがありません。
だから、そういったバックグラウンドを持つパートナーと会話をするのがとにかく楽しいんです。
同じ価値観を持つであろう日本人でも、人によって様々な特徴を持っていたり、個性があると思いますが、国際恋愛となると、それをさらに越えます。
だから、楽しく感じるのと同時に、解放感を感じます。
洋画を見ているときに「自由」を感じることはありませんか?
変な言い方ですが、その自由がいつもそばにある感じです。
ちなみにバックグラウンドが違うとなると、笑いのツボも違ってきます。
これは付き合い始めたときの、僕の悩みでした。ですが一緒に生活をしていくうちに、笑いのツボなんてどうでもよくなりました。一番大切なことではないからです。
笑いのツボがめちゃくちゃ合う人って、ある意味、つまらなかったりします。
建築物のいたるところにある細かな段差という「違い」が、その建築物を美しく見せたり、人を感動させたりすると思います。
バッググラウンドの違いも、そんなふうに二人の生活を豊かにしてくれます。
日本を一緒に冒険できる
パートナーに出会う直前、僕は29歳でした。
日本に29年も住んでいたので、道を歩いていても周りのものに気を留めるようなことはなく、当たり前のように歩いていました。
ですが、パートナーと出会ってからは発見と再発見の連続でした。
「日本はマンホールのデザインはかわいいよね」
「日本は地震が多い国なのに、なんでみんなコンクリートではなく木造の家を建てるんだろうね」
と、今まで考えたことがなかった日本についてのことを聞かれました。
パートナーはスーパーで商品を見るのが好きで、よくいろんな商品を買って試していました。(お菓子、加工食品、洗剤、100均グッズなど)
その中で、パートナーが「雪見だいふく」や「わらび餅」にハマったりすることもありました。
実はその二つは、僕が子供のときにハマっていた商品だったので、「懐かしい…」「これ、自分が子供だったときに好きだったんよ!」と言いながら、久しぶりの味を楽しみました。
そんなふうにパートナーと日本で生活をしていると、日本にいながら、いろんなものが新鮮に感じられるようになりました。
アイデンティティの混乱が自己成長につながる
僕は今まで日本で、日本人だけに囲まれた視野の狭い生活をしていました。
ですが、パートナーと出会ったり、他の外国人たちと遊んでいくなかで、自分の持っていた世界の狭さを思い知りました。そして同時に、もっともっと自分の世界を広げたいと思うようになりました。
パートナーや外国人たちと遊ぶのは、本当に楽しくて、面白いです。
でも、ときどき自分の立ち位置がわからなくなるときがあります。
僕はずっと日本に染まった生活をしていたので、日本人と接しているときは、仕草や振る舞いを日本式にします。日本人サイドにいるという感覚です。
でも、外国人と遊ぶときは、日本の慣習のなかでガチガチに凝り固まったスタイルを解放して、リラックスした自然な自分でいます。いうならば、外国人サイドにいるという感覚です。
そして「自分は何なのか」がわからなくなるときがあります。
アイデンティティの混乱です。
(日本人サイドや外国人サイドという発想自体が、ナンセンスなのかもしれませんが、日本で日本人のみに囲まれてずっと生活していたので、この感覚が抜けません)
そして、正体のわからないモヤモヤしたものに悩まされます。
ここまで書くと、いま話している内容はデメリットに聞こえますが、これは同時に大きなメリットでもあります。
その瞬間は苦しいかもしれませんが、未知の価値観に触れることは自分をより柔軟に、より大きく成長させてくれます。
アイデンティティが混乱し、その中で必死に考えたり行動したりして、また新しいアイデンティティを構築していく。
そうしているうちに、人は自然と成長するのだと思います。
ちなみに、国際恋愛をしたことがない人が、この記事を読んで「自己成長したいから国際恋愛がしたい」と思うことには違和感を感じますが、いま実際に外国人パートナーと付き合っていて悩んでいる方にとっては明るい内容だと思うので、メリットの一つとして載せました。
おわりに
今回はメリットを紹介しましたが、デメリット(というか悩み)も同じように、たくさんあります。
ですが、国際恋愛のいいところも悩みも、全てが「パートナーとの生活」をリアルに感じさせてくれる毎日です。
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