キャンプ場に一週間
腰の傷の回復をはかるため、そしてまだ完全にはひいていない腫れが治るのを待つため、クライストチャーチにあるキャンプ場で連泊している。
一泊3500円だ。

ご飯は、近くにあるスーパーで食材を買い、テントの横にあるテーブルで調理をし、食べている。

ベル&ドネックはこのキャンプ場に2泊したあと、テアラロア上にある「アーサーズパス」へ出発し、ロングトレイルを再開した。
そのあとも僕は、まだ一人で、このキャンプ場にいる。
毎日、大体、テントの中で寝転がりながら、Kindleで本を読む生活を送っている。腰の傷も足の水ぶくれも日に日によくなっていて、二日に一回は病院にいき、経過を診てもらっている。
長いロングトレイル生活で溜まった疲れが、ゴロゴロすることで癒えていく。とても気持ちがよくて、幸せだ。

ただ、みんなとの距離はどんどん開いてゆく。毎回「もうみんなとは会えないかも」と思いながら結局会えていたけど、今度こそ本当に、もう会えないかもしれない。
でも、ここでしっかり休養をとり、身体の調子も完璧に整えて出発すれば、一人でもやっていけそうな気がする。
ただ、ベリーはこの旅の後半で、オーストラリアに住む彼女をニュージーランドに呼び、一週間ほどトレイルを離れてデートをするらしい。そしてそのあと、またトレイルを再開するらしいから、もしかしたらベリーとは会えるかもしれない。
クライストチャーチ散歩
この休養生活の中で、ただテントに閉じこもるのはもったいないので、キャンプ場の近くにあるショッピングモールに行ってきた。

いろんな人に紛れて、モール内を歩く。
トレイルとは違って、すれ違う人に挨拶をしたり、意識を向けたりすることはないけど、これはこれで心地よかった。
街での生活の懐かしさも感じる。
別の日には、メスベンから来たケイロブとクライストチャーチの街を探索した。


気になっていた無料で入れる美術館は17:00閉館。到着したのは16:45。

15分間だけど、美術館のなかの静かで心地のいい空間にテンションが上がった。
記憶に残る映画
そしてそのあとは、クライストチャーチに住むサムと合流して映画館にいった。

もちろん、セリフは全部英語で、字幕はない。だから、セリフを聞き逃すまいと必死で流れる英語に喰らいつく。
と、思ったら、いつの間にか寝ていた。
あれ!?何分寝ていたんだろう。スクリーンを見ると、シーンがとっくに進んでいて、話が全然わからなくなった。
そのあとも、4回寝落ちした。
ただ、英語がわからなかったけど、かなりユニークな映画だったので、結構楽しめた。
映画が終わり、三人で外に出ると、サムが「どうだった?」と苦笑いしながら話す。僕は「英語がわからなかったから、内容はわからなかったけど、すごく面白かった!」というと、サムとケイロブが苦笑いを浮かべながら「自分たちは英語がわかるけど、それでも内容がわからなかった」といっていた。
そして二人とも一回ずつ、寝落ちしてしまったようだ。
ちなみに映画は3時間半もあったらしい。僕は5回も寝たので2時間ほどに感じた。

「記憶に残る時間になったね!」とサムが笑いながらいい、「いい睡眠がとれて、癒しの時間だった!」と僕が言う。ケイロブは苦笑いをしている。
そしてキャンプ場に戻った。
いよいよトレイルへ!
そして街での休養生活が終わり、いよいよトレイルに向かう。
まずはキャンプ場近くのバス停からバスに乗り、クライストチャーチ空港へ向かう。

クライストチャーチ空港近くのスーパーでお昼ごはんのクロワッサンを買い、ベンチで食べていたら、同じくお昼ごはんを抱えたおじさんも同じベンチに座り「このハムがたったの170円だったぞ!これ全部でたったの1000円だ!」と僕に言う。
そしておじさんが去り際に、そのハムを僕にくれた。
なんで空港に来たのかというと、クライストチャーチ空港から「アーサーズパス」というテアラロアのトレイルまでバスが出ているからだ。
バスの到着時刻よりも、かなり早くに空港に着いたので、空港ロビーに入って休む。いろんな旅行者がいてホッとする。そして、帰ろうと思えばここから日本に帰れる。
甘い蜜に誘われたハチの気分だった。

だけど、トレイルに戻るためにバスに乗り込む。

前回、トレイルを降りた地点より70km進んだところから再開するので、70kmトレイルをスキップすることになるけど、いろんなハプニングがあった僕には、そんなことはもう、どうでもよくなっていた。
あまり無理せずに、トレイルを最後まで楽しみたい。固く張り詰めていた気分は、休養をとることで柔らかくほぐされていた。
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